トシ坊の注目チーム2010〜社会人野球編〜総括編

先日の大学野球編に続いて、本日は社会人野球編を
JR北海道-Hokkaido Railway-(北海道野球連盟所属)
今年度主要実績
第54回JABA岡山大会優勝
第42回JABA東北大会予選リーグ
第53回JABA北海道大会ベスト4
第81回都市対抗野球大会1回戦
第37回社会人野球日本選手権大会ベスト8
狐塚新監督のもと新たな船出となったJR北海道。新シーズン最初の大会となった岡山大会では転籍2年目の福山(法政大)、新人・武藤(中京大)の2人を軸とした投手陣が活躍し、三菱重工横浜との決勝では打線が粘りを見せ逆転で見事初優勝。都市対抗では三菱重工名古屋の前に完封負けを喫したものの、日本選手権ではJFE西日本、沖縄電力を下して初の8強入り。「それほど強いという印象はないのに、最後は勝っているというチームにしたい」という狐塚監督の思惑通りとなった。チーム構成も若く、来季は駒大苫小牧の主砲として甲子園を沸かせた本間(亜細亜大)の入社も予定されている。果たして来季はどんな活躍を見せるのか。航空自衛隊千歳を除くと北海道唯一の企業チームだけに、期待は大きい。

TDK(秋田県野球連盟所属)
今年度主要実績
第58回JABA静岡大会予選リーグ
第42回JABA東北大会予選リーグ
第81回都市対抗野球大会東北二次予選第2代表決定トーナメント3回戦
第37回社会人野球日本選手権大会東北最終予選2回戦
ここ一番に弱さを見せてしまったシーズンとなった。静岡大会では東海REXに敗れたのが響いて予選敗退、東北大会ではリーグ戦での得失点率差に泣いて予選敗退。都市対抗二次予選では第2代表決定戦進出を賭けた一戦でJR東日本東北に惜敗して東京ドームへの道を閉ざされ、日本選手権二次予選でも七十七銀行に敗れて二大大会への出場を逃した。唯一明るい話題と言えば、大原慎司投手(常磐大)の横浜入りくらいか…。来年こそはドームへの扉を開きたい。


Honda(埼玉県野球連盟所属)
今年度主要実績
第65回JABA東京スポニチ大会予選リーグ
第58回JABA静岡大会予選リーグ
第64回JABA九州大会予選リーグ
第81回都市対抗野球大会2回戦
第37回社会人野球日本選手権大会関東最終予選代表決定戦
都市対抗優勝、日本選手権準優勝を果たした昨シーズンの結果から考えると、不本意と言える1年だった。都市対抗二次予選前に出場した3大会は何れも惜しいところで予選リーグ敗退。都市対抗では初戦のJR四国に苦戦すると、2回戦では東京ガス・榎田(福岡大。阪神入団)に強力打線が封じ込まれ、昨年の雪辱を目指した日本選手権も完投代表決定戦で日本通運の牧田(平成国際大。西武入団)に封じられ大阪行きならず。シーズン終了後には安藤強監督が勇退し、体制も大きく変わることになるが、常に一番を狙うHondaらしさを前面に再び黒獅子旗を狙う。


JR東日本-East Japan Railway-(東京都野球連盟所属)
今年度主要実績
第65回JABA東京スポニチ大会予選リーグ
第53回JABA長野県知事旗争奪野球大会ベスト4
第53回JABA北海道大会予選リーグ
第81回都市対抗野球大会2回戦
第37回社会人野球日本選手権大会関東最終予選代表決定戦
今シーズン、都市対抗前に行われた選手権対象大会はやや不本意だったものの、都市対抗二次予選では粘り強さを見せて第一代表権を獲得。しかし、本大会ではここ4年間で3度目の対戦となった日本生命との初戦こそ勝ったものの、3年前の決勝の再現となった川崎市東芝との2回戦では先制しながら逆転され、追いつきながらも延長11回タイブレークで敗退。日本選手権関東最終予選でもかずさマジック投手陣に抑え込まれ、両チーム無得点で迎えた9回にまさかのサヨナラ負け。都市対抗準優勝を果たした3年前と比べると寂しい成績が続いているが、来シーズンこそ悲願の黒獅子旗なるか。


NTT東日本-Nippon Telegraph and Telephone East-(東京都野球連盟所属)
今年度主要実績
第65回JABA東京スポニチ大会予選リーグ
第58回JABA静岡大会予選リーグ
第53回JABA長野県知事旗争奪野球大会優勝
第81回都市対抗野球大会ベスト8
第37回社会人野球日本選手権大会ベスト4
垣野監督就任2年目となった今年はスポニチ大会、静岡大会と惜しい試合が続いたが、長野大会では予選リーグワイルドカードから決勝トーナメントに進出するとJR東を下して挑んだ富士重工業との決勝でも逆転で勝利し大阪ドームへの切符を獲得。都市対抗東京2次予選では苦戦しながらも第3代表権を得て東京ドームへコマを進め、1回戦では仙台市七十七銀行のエース・小林(東海大千葉ロッテ入団)と壮絶な投手戦の末にタイブレークでサヨナラ勝ち。2回戦では昨年準優勝のトヨタ投手陣を打力で圧倒し、投手陣も福井(上武大)、小石(立正大。新人)の継投でて2年連続の8強入りを果たしたが、JR九州との準々決勝は9回に上田(日本大)の一発で1点をリードして迎えたその裏に同点とされ、さらに続く満塁のピンチで藤島(九州東海大)のスクイズを外したものの、三塁走者が間一髪生還し、まさかのサヨナラ負け。日本選手権ではパナソニック三菱重工横浜、JR北を下し、初の4強入りを果たしたものの、準決勝でトヨタ都市対抗のリベンジをされ、初のダイヤモンド旗獲得はならず。勝負の3年目となる来年こそ、1981年以来となる黒獅子旗獲得なるか。


JX-ENEOS(神奈川県野球協会所属)
今年度主要実績
第65回JABA東京スポニチ大会準優勝
第58回JABA静岡大会予選リーグ
第42回JABA東北大会優勝
第81回都市対抗野球大会神奈川県二次予選代表決定トーナメント2回戦
第37回社会人野球日本選手権大会ベスト4
悔しさを味わうとともに、若手の台頭が光った1年だった。史上初の大会3連覇を目指した春のスポニチ大会では準優勝に終わったものの、新人・田畑(桐蔭学園)が2試合連続代打弾という離れ業を見せて特別賞に輝けば、左腕・大城(名桜大)も新人賞を受賞する活躍。東北大会でも倉又(亜細亜大。新人)の好投が光って見事初優勝を果たしたが、4年連続出場と前人未到の大会V10を狙った都市対抗では神奈川二次予選のリーグ戦で三菱重工横浜に完封勝ちしたものの東芝に敗れ、代表決定トーナメントでは初戦(2回戦)で三菱横浜にリベンジされて東京ドーム行きを逃し、7月に新日鉱ホールディングスと合併し、「新日本石油」から「JXホールディングス」に社名変更して挑んだ日本選手権では倉又がヤマハとの準々決勝で1安打14奪三振の快投を見せたものの準決勝でJR九州の米藤(福岡大)、濱野(国士舘大)のリレーの前に点を挙げることが出来ず、1991年以来となる決勝進出はならず。それでも、大城、倉又の活躍は来季ベテラン・廣瀬(愛知学院大) が抜ける投手陣にとって大きな戦力となった。来季は成田高の中川、亜細亜大の北原の入社、転籍で前日立製作所の平野(法政大)の入社が予定され、さらに投手陣の厚みを増す。来季こそ10回目の都市対抗制覇なるか。

三菱重工横浜-Mitsubishi Heavy Industries Yokohama-(神奈川県野球協会所属)
今年度主要実績
第65回JABA東京スポニチ大会予選リーグ
第54回JABA岡山大会準優勝
第62回JABA京都大会予選リーグ
第53回JABA北海道大会予選リーグ
第81回都市対抗野球大会ベスト4
第37回社会人野球日本選手権大会2回戦
昨年13年ぶりに東京ドームに返り咲き、日本選手権ベスト4の実績を残したチームはさらに成長。日本選手権対象大会は結果が結び付かないことが多かったが、激戦区・神奈川を2年連続で予選突破した都市対抗本大会では1回戦の春日井市王子製紙戦を劇的なサヨナラ勝ちを収めると、大和高田市・大和高田クラブとの2回戦、東京都・東京ガスとの準々決勝も逆転で下し、北九州市JR九州との準決勝では敗れたものの初の4強入り。日本選手権では主砲・渡部(東海大)をアジア大会に供出していた影響か、2回戦でNTT東に敗れたものの、2年連続で全国上位に顔を出したことで、完全に全国上位常連の雰囲気が出てきた。来季はどんな活躍を見せるのか。


トヨタ自動車-Toyota Motor-(愛知県野球連盟所属)
今年度主要実績
第58回JABA静岡大会ベスト4
第64回JABA九州大会準優勝
第53回JABA北海道大会優勝
第81回都市対抗野球大会2回戦
第37回社会人野球日本選手権大会優勝
2年ぶりにダイヤモンド旗を奪還した今シーズンだったが、そこに至るまでの道程は楽なものではなかった。大谷(千葉ロッテ)、中澤(東京ヤクルト)、荻野(千葉ロッテ)の3人がプロ入りしたものの、それを補って余る戦力は健在。選手権対象大会も静岡大会4強を皮切りに九州大会準優勝、北海道大会優勝と常に上位に食い込み、都市対抗東海二次予選も西濃運輸三菱重工名古屋、Honda鈴鹿ヤマハ王子製紙と難敵を次々撃破して第一代表権を獲得。ところが迎えた本大会では1回戦の神戸市・三菱重工神戸戦を延長の末に勝利したものの、続くNTT東との2回戦は投手陣が捕まり7失点、打線も7安打を放ちながら無得点といいところなく敗退。それでも日本選手権優勝という結果を出したのは、一昨年まで大会2連覇を果たしているというプライド、「3人抜けて弱くなった」と言われることへの反発だったのではないか。佐竹功年投手が選手権優勝後発した「トヨタは誰が抜けても上で勝てるチームになった」というコメントがこれを象徴している。しかも今年は新年早々に会社のリコール問題が発覚。そうした中で野球をやらせてもらっているという感謝の思いがあったはずだ。それだけに今回の優勝は非常に価値のあるものとなったはずである。来季こそ悲願の黒獅子旗獲得へ、来季もトヨタは走り続ける。


Panasonic(大阪府野球連盟所属)
今年度主要実績
第40回JABA四国大会予選リーグ
第62回JABA京都大会予選リーグ
第64回JABA九州大会予選リーグ
第81回都市対抗野球大会近畿二次予選敗者復活代表決定戦
第37回社会人野球日本選手権大会1回戦
前年と比べると残した戦績はまさに雲泥の差と言える。四国大会で予選敗退すると、京都大会、九州大会は何れも予選リーグ3連敗。都市対抗大阪・和歌山二次予選ではリーグ戦を4勝1敗で抜け、立ち直ったかに見えたが、第1代表決定戦でNTT西日本延長15回に縺れ込む死闘の末に敗れると、第2代表決定戦では日本生命にも敗れて近畿二次予選に回ったが、初戦で新日本製鐵広畑に大敗して敗者復活戦に回ると、敗者復活代表決定戦まで勝ち上がったものの大和高田クラブにまさかの敗退。日本選手権では近畿最終予選を首尾よく勝ち上がったものの、本大会でNTT東に惜敗。来年は日産自動車前監督の久保恭久副部長が新監督に就任するが、果たしてどれだけチームを建て直すことが出来るか、手腕に注目したい。

日本生命-Nippon Life Insurance-(大阪府野球連盟所属)
今年度主要実績
第54回JABA岡山大会予選リーグ
第62回JABA京都大会予選リーグ
第81回都市対抗野球大会1回戦
第37回社会人野球日本選手権大会近畿最終予選敗者復活3回戦
花野新監督が就任した1年目は辛酸を舐める厳しい1年となった。岡山、京都両大会は星を落としたことが響いて何れも予選リーグ敗退。都市対抗は何とか予選を突破したものの、本大会1回戦でJR東に逆転負けを喫し3年連続の初戦敗退。巻き返しを期した日本選手権では敗者復活3回戦で日本新薬に敗れ、99年以来となる予選敗退。都市対抗優勝3度の栄光はどこへやら、といった感じだが、そろそろ眠りから覚めたい。


JR九州-Kyushu Railway-(福岡県野球連盟所属)
今年度主要実績
第65回JABA東京スポニチ大会ベスト4
第40回JABA四国大会優勝
第64回JABA九州大会ベスト4
第81回都市対抗野球大会準優勝
第37回社会人野球日本選手権大会準優勝
今年一番悔しい思いをした大学野球部が東海大なら、社会人球界で一番悔しい想いをしたのがJR九州だ。今年は選手権対象大会を全て4強入りし、四国大会では優勝。九州第1代表で挑んだ都市対抗では初戦で日立市日立製作所を振り切ると、さいたま市日本通運、NTT東、三菱横浜と次々撃破して決勝へ進出。実に旧門司鉄道局時代の快挙だったが、川崎市東芝サイドスロー、藤田(九州共立大)を捉えきれず、エース・濱野(国士舘大)の好投も報われず準優勝。日本選手権でも強敵を次々撃破し、2008年のトヨタ以来となる連覇に王手をかけたが、決勝でそのトヨタに逆転負けを喫しまたしても準優勝。これほどの思いをした来年こそ必ず…!