第67期順位戦A級8回戦結果

毎年この時期になると悲喜交々のドラマを生む将棋順位戦毎日新聞社朝日新聞社主催)だが、羽生善治名人への挑戦権を争うA級の8回戦が昨日行われた。
今期は近年稀に見る大混戦で、7回戦終了時点で郷田真隆九段(前期3位)が5勝2敗、ついで森内俊之九段(前名人。1位)、木村一基八段(前期5位)、佐藤康光棋王(前期8位)が4勝3敗で追う展開。さらに3勝4敗で三浦弘行八段(前期2位)、丸山忠久九段(前期4位)、藤井猛九段(前期6位)、谷川浩司九段(前期7位)、鈴木大介八段(今期からA級復帰。9位)、深浦康市王位(今期からA級復帰。10位)が並ぶ混戦で、全員に挑戦権の目があるという事態となっていた。
昨日行われた8回戦では森内−佐藤という4勝3敗同士の直接対決、丸山−谷川、藤井−鈴木の3勝4敗同士の直接対決など、注目カードが目白押しだったのだが、果たして結果は以下のようになった。


森内(4勝4敗)●−○佐藤(5勝3敗)
三浦(3勝5敗)●−○郷田(6勝2敗)
丸山(4勝4敗)○−●谷川(3勝5敗)
木村(5勝3敗)○ー●深浦(3勝5敗)
藤井(4勝4敗)○ー●鈴木(3勝5敗)


この結果、挑戦権争いは郷田、木村、佐藤の3人に絞られた。最終9回戦で郷田−木村の直接対決があり、郷田が勝てば文句無しで挑戦権獲得。木村が勝てばプレーオフとなる。佐藤は最終戦で藤井に勝ち、郷田が負けた場合プレーオフ進出の権利を得る。
一方、昨日の一戦で丸山、藤井、佐藤が順位の関係で残留を決め、森内も既に残留を決めているので、残留争いは三浦、谷川、鈴木、深浦の4人に絞られたのだが…。
なんと恐ろしいことに、9回戦で谷川−鈴木の直接対決があるんですよ。しかも負けた方が即B級1組へ降級と言う恐ろしい一番。十七世名人の資格を持つ谷川だが、まさか連続27期(名人5期を含む)在籍したA級から降級、という事態になってしまうのだろうか…。棋士人生最大のピンチを迎えていると言っても過言ではない。
残り一つの降級枠も熾烈な争いになりそうだ。深浦は順位が最下位ということもあって、たとえ最終戦(丸山戦)に勝っても残留決定といかないのが痛い(深浦が残留のためには最終戦に勝ち、三浦が森内に敗れないと残留できない)。過去に深浦はA級に在籍した2期、いずれも4勝5敗という成績を残しながら、順位の差で降級するという悔しさを味わっているだけに(しかも、その2度の降級は何れもA級に上がった直後に喫したもの)、今期こそ運命が微笑んで欲しいが…。
前期最終戦まで羽生と挑戦権を争った三浦は今期4回戦まで3勝1敗と好調だったのが、5回戦で深浦に敗れた後ガタガタと崩れて4連敗。流れは最悪と言っていい。最終戦は強敵・森内との対戦だが、果たして…。


A級順位戦史上、もっとも熾烈な争いとなるであろう最終9回戦は3月3日、東京・千駄ヶ谷将棋会館で5局が一斉に行われる。対戦カードは以下の通り。


森内俊之九段(4勝4敗)−三浦弘行八段(3勝5敗)
郷田真隆九段(6勝2敗)−木村一基八段(5勝3敗)
深浦康市王位(3勝5敗)−丸山忠久九段(4勝4敗)
佐藤康光棋王(5勝3敗)−藤井猛九段(4勝4敗)
谷川浩司九段(3勝5敗)−鈴木大介八段(3勝5敗)