ラビッツクラシックレポート〜その3〜

お待たせ致しました。今回は第1ピリオド〜第2ピリオド編を。
なお、分からない方のために説明しますと、アイスホッケーは正味20分間のピリオドを3回繰り返し(ピリオド間に15分間の休憩あり)、それで勝負が着かない場合は5分間の延長戦。それでも勝負がつかなければ両チーム3人ずつのゲームウィニングショット戦(サッカーで言うPK戦。サッカーと違う点は、センターサークルからパックをドリブルで持ち込んでシュートするということ)を行って勝敗を決めます。

チャンス潰し合戦?
試合開始から両チームとも激しい攻防を繰り広げるが、先にチャンスをつかんだのは王子。3分57秒に、SEIBU・増子がエルボーイング(肘で相手をチェックすること)の反則で2分間退場(この間はペナルティボックスに入れられる)。王子は1人多いパワープレーのチャンスを得るのだが…。今度は4分56秒に王子の主将、齊藤毅がハイスティク(スティックを肩より上に上げてプレーすること)の反則で人数が4人対4人に。その後はしばらく両チームともパワープレーのチャンスを作っては反則で潰す、という悪循環を生み出していたが、7分過ぎ、SEIBUは4人対4人の場面で王子陣内でパックをつなぎ、大久保、主将・鈴木のパスを受けたパーピックの強烈なシュートで1点先制!先制点が試合の流れを左右するだけに、この1点は痛い…。
しかし、王子も反撃する。11分21秒にエンディコット、キャラー(帰化人選手)のパスを受けた岩田が決めて同点!前日の試合でハットトリックを達成しているこの男、まさにノリノリである
さらに王子は16分19秒、反則退場で1人少ないキルプレーながら、SEIBUからパックを奪い、ベテラン磯島(15年前、王子が最後に日本リーグ優勝した時の数少ない生き残り)のパスを受けた齊藤主将が勝ち越しゴール!
この後、SEIBUも反撃を見せるものの、19分25秒にパーピックがフッキング(相手を後ろから引っ掛けて妨害すること)を取られ、王子のパワープレーで第1ピリオド終了。
にしても、ホント無駄な反則が前半目立ったなあ…。

団結力
第1ピリオド終了後、休憩時間に入ったところで、ラビッツのジャージを着た1人の男性が我々の席の前へ。昨年12月のSEIBU廃部発表後、北海道で存続を求める署名活動を起こしている大西さんだ。そして彼の口から驚きの報告が飛び出した。
「おかげさまで1万名を超す署名を集めることが出来ました」と。
署名開始からわずか3週間足らずでこれだけの数が集まろうとは!周囲の観客からも拍手が沸き起こる(ちなみに、1月13日に12348名分の第一次署名が(株)プリンスホテルに提出されました)。アイスホッケーファンの団結力の強さを見たような気がしました。
そして大西さんが試合前、リンクの前で署名活動で行っていた際、叫んでいた「これほど魅力的なスポーツを東京から無くさないで欲しい」という一言。本当だよなあ…。アイスホッケーは一度観に行くと、そのスピード感、激しいぶつかり合いに魅了されます。一度で良いからリンクに足を運んで、その迫力を生で体験してもらいたい!
日本全国全ての鉄道駅に乗下車した、「鉄子の旅」(小学館IKKI COMIX)の案内人でおなじみの横見浩彦氏は、「鉄子の旅」第2巻で、とある北海道の駅舎を見て「国民の大部分がこの至福の時を知らないとは!」と叫んで(?)いますが、まさにその通りだと思います。見ているこっちまで熱くなっちゃうスポーツなんですから、ホント…。皆さんも「寒いから」とか言わないで、ぜひ一度アイスホッケーが行われている試合会場に足を運んで!

主将の意地
王子のパワープレーで始まった第2ピリオドだが、SEIBUは日本代表GK、菊地を中心とした持ち前の堅い守りで王子の攻撃を次々跳ね返し、得点を与えず。一方の王子もSEIBUの放つシュートの雨を、こちらも日本代表GKの春名が跳ね返す。このまま我慢比べになるかと思われたが、17分59秒に藤田、パーピックのパスを受けた主将・鈴木が同点ゴール!廃部発表後、「氷上で頑張るしかない」と、悲壮な決意を胸に秘めてチームを引っ張るベテランの一発で試合の行方は全く分からなくなった。
同点のまま、第2ピリオド終了。両チームの意地とプライドのぶつかり合いはさらに激しさを増していく。

次回で最後です。第3ピリオド〜試合終了後の藤田キヨシ引退セレモニー編です。