戦い済んで日が暮れて〜第67期順位戦A級9回戦〜

第67期順位戦A級は昨日、最終9回戦が東京・千駄ヶ谷将棋会館で一斉に行われ、既報の通り、郷田真隆九段が木村一基八段を下し、7勝2敗で羽生善治名人への挑戦権を手にしました。前期初のA級参加で、開幕5連勝を決めながら、後半戦に入って4連敗と失速した木村八段は、勝てばプレーオフ進出だったのですが…。今期も昨年に続いて5勝4敗で終了。昨年の5勝4敗より、今回の結果が一番悔しいことだろうと思います。来期こそは…。
また、木村−郷田戦の結果次第でプレーオフの目が残っていた佐藤康光棋王は、藤井猛九段に勝って6勝3敗としたものの、一歩及ばず。なお、佐藤棋王はこの勝利でプロ入り通算800勝を達成し、将棋栄誉敢闘賞の資格を得ている。


一方の降級争いは、9年前の中原誠十六世名人以来となる永世名人資格取得者のA級陥落か、と注目された谷川浩司九段は、鈴木大介八段を相振り飛車で下し、4勝5敗で辛くも残留決定。敗れた鈴木八段は、3勝6敗でB級1組へ無念の降級。もう一つの争いは、三浦弘行八段、深浦康市王位の3勝5敗同士の争いとなったが、三浦八段は森内俊之九段に、深浦王位は丸山忠久九段にそれぞれ敗れたものの、前期の順位の差で、2位の三浦八段が残留し、10位の深浦王位が降級となった。深浦王位は第63期、65期に続いてまたしても1期でのA級陥落。一昨年、昨年と王位戦で続けて羽生名人を下し、現在挑戦中の王将戦でも3勝2敗として羽生王将からタイトル奪取に王手をかけている深浦王位だが、どういうわけかA級では運が無い。何が足りないのか…。


それにしても、今年ほどA級がもつれ、注目された期は今まであっただろうか。過去にはガンで途中入院しながらも、不屈の闘志で指し続けた大山康晴十五世名人がプレーオフ入りを果たした91年度、名人在位期間を含め、27期連続でA級に在籍した米長邦雄九段の降級が話題となった97年度、史上初めてとなる永世名人資格取得者(中原誠十六世名人)のA級陥落が話題となった99年度等があったが、今年はこれらの戦いを上回る注目度だったことは間違いないだろう。ピークを過ぎた感があるとは言え、数々のタイトルと栄光を手にしてきた谷川九段が降級してしまうのか、誰が名人挑戦権を得るのかが注目されたのだから、それだけインパクトが強かった。「谷川降級は見たくない。でも谷川のいないA級も…」というファンはいったい何人いたのか…。


ところで、残り4クラス(B級1組、2組、C級1組、2組)の昇降級争いがこれから大詰めを迎える一方で、順位戦中継を巡って大きなゴタゴタが起こっている。この件に関しては後日書き記したい。