野球に憑かれた男

懐かしい名前が再び野球界に戻ってきた。

鈴木元日大監督が埼玉栄コーチ就任(スポーツ報知)
09年春まで東都大学リーグの日大で監督を務めていた鈴木博識氏(62)が、春夏1度ずつの甲子園出場歴を持つ強豪・埼玉栄(埼玉)のコーチに就任したことが1日、分かった。

 鈴木氏は小山(栃木)のエースとして68年夏の甲子園に出場。日大、三菱自動車川崎でエースとして活躍し、引退後は青森商、日大藤沢、日大の監督を歴任。日大時代にはヤクルト・館山、巨人・村田、長野らスケールの大きな選手を育て上げ、指導力には定評がある。

 埼玉栄は00年春を最後に甲子園から遠ざかっており、今秋も県大会準々決勝で敗退。この日から着任し、選手に初指導した鈴木氏は「指導者生活の集大成として、甲子園出場を目指す。同郷の先輩でもある細淵監督を全面にわたってサポートしていきたい」と意気込みを語った。

私が鈴木コーチの名前を知ったのは2001年(平成13年)春に日大が17季ぶりに東都大学野球一部リーグを制した時、「野球小僧」(白夜書房)に掲載されていたライター・岡邦行氏による日大野球部の密着ルポだったと記憶している。その時に書かれていた情熱的な指導ぶりに、熱いものを感じたことを覚えている。その後も村田修一(巨人)のスラッガーとしての素質を高校時代に見抜いていたエピソードや、入学後からプロ入りまでのエピソード、指揮官としてのエピソードなど、岡氏の日大野球部ルポをずいぶんと読ませていただいた。
また、余談ながら広島、楽天の監督を務めたマーティ・ブラウンが導入した「内野5人シフト」を日大藤沢監督時代(1987年〜1995年)に敷いたこともある(この辺りのエピソードは岡氏の著書「素晴らしき野球小僧-白球を追い続ける男たちの詩」(ぶんか社)に詳しい)。
名門・日大を復活させ、在任中二度のリーグ優勝(2001年春、2004年春。何れも全日本大学選手権準優勝)に導いた鈴木氏も、2006年(平成18年)秋に入れ替え戦専修大に敗れ、二部へ降格。2009年(平成21年)の春季二部リーグ戦終了後に日大野球部監督を辞任後、その名前を聞くことは無くなっていた。久々に表舞台に戻ってきた鈴木氏の手腕と、来年の埼玉大会が非常に楽しみである。