トシ坊の注目チーム2011〜社会人野球決算編〜
はじめに…
東日本大震災が発生した3月11日午後2時46分、東京・明治神宮野球場では第66回JABA東京スポニチ大会の決勝、NTT西日本×JX-ENEOSの試合が開始されたばかりだった。そしてベスト4に進出していた4チームのうち、日本製紙石巻、住友金属鹿島、JX-ENEOSの3チームは津波により、現地の事業所等が大きなダメージを負うという最悪の事態となった。
その後、一時は3月18日に決勝の振り替えが予定されたものの、次第に拡大していく被害を受けて決勝は中止となり、JX-ENEOS、NTT西日本両チーム優勝という形に。さらに日本選手権対象大会中止とそれに伴う選手権本大会の中止、電力事情のため都市対抗野球大会が初めて東京の地を離れ、10月に京セラドーム大阪で開催されるなど、震災の影響を大きく受けたシーズンとなった。
富士重工業-Fuji Heavy Industries-(群馬県野球連盟所属)
今年度主要実績
第82回都市対抗野球大会1回戦
今季は日立市長杯、九州大会に出場してから都市対抗予選に挑む予定だったが、震災のため中止になり、ぶっつけ本番状態で都市対抗予選に挑むこととなった。群馬県一次予選はスーパーシード(と言うより企業チームが富士重1チームしかない)でオール高崎野球クラブを23-0で一蹴し、二次予選へ進んだが、準決勝で住友金属鹿島に敗戦。敗者復活戦へ回ると、初戦全足利クラブを下し、関東二次予選進出決定戦では“北関東企業3強”の一角、日立製作所を下して望みをつなぐ。その関東二次予選も苦しい戦いが続いたが、初戦で東京ガス(東京4位)にサヨナラ勝ちを収めると、続くかずさマジック(南関東3位)も4投手をつないで見事代表権を獲得したが、本大会では1回戦で東京都・JR東日本の前に0-1の完封負け。好投の畠山(日本大)を援護できなかった。
ここ2年住金鹿島の健闘が光る北関東勢。来年は日立、富士重も加えて、悲願の黒獅子旗獲得なるか。
Honda(埼玉県野球連盟所属)
今年度主要実績
第82回都市対抗野球大会1回戦
長谷川新監督のもと、2年ぶりの都市対抗優勝を目指したHondaだったが、結果は厳しいものとなった。
埼玉県一次予選ではライバルの日本通運を下し、南関東二次予選でも順調に勝ち上がって行ったものの、第1代表決定戦では日通にサヨナラ負け。第2代表決定戦ではかずさマジックに9回サヨナラ勝ちを収め、代表権を獲得したものの、15年前の決勝の再現となった広島市・三菱重工広島との1回戦では先発・諏訪部(中越)が誤算。打者4人でアウト一つも取れず自責点4で降板、その後の三菱広島の攻撃を抑え、打線も同点に追い付く粘りを見せたものの、三番手で登板の筑川(東海大)が延長11回についに力尽きた。
思えば96年に入来祐作(元巨人)で初優勝した時も、しばらくHondaは苦戦した。尤も、現在と比べると、あの時は都市対抗はおろか、日本選手権にもなかなか出場できなかった、という違いはあるが…(97年〜2003年まで、都市対抗出場1回、選手権出場2回)。来季は脱停滞、なるか。
セガサミー-Sega Sammy-(東京都野球連盟所属)
今年度主要実績
第66回JABA東京スポニチ大会予選リーグ
第82回都市対抗野球大会1回戦
佐々木誠監督(現NTT西日本コーチ)に替わって西詰嘉明監督が就任した今シーズン。3月の東京スポニチ大会、都市対抗東京都二次予選では苦戦したものの、敗者復活戦を勝ち上がって第3代表権を獲得。しかし、迎えた本大会初戦の相手が佐々木前監督がコーチとなった大阪市・NTT西日本。チームにとっては恩返しする機会だったが、NTT西のエース・安部に4安打に封じられ、2年ぶりの出場を勝利で飾る事は出来なかった。
来季はチーム創設以来投手陣を支えてきた南が現役引退するが、その穴を埋めるだけの戦力は揃っている。来年こそ都市対抗2勝目の壁を突破できるか。
JR東日本-East Japan Railway-(東京都野球連盟所属)
今年度主要実績
第66回JABA東京スポニチ大会予選リーグ
第82回都市対抗野球大会優勝
2005年に三菱自動車岡崎から堀井哲也監督が就任し7年目となった今年、ついに悲願の黒獅子旗を掴んだ。
3月の東京スポニチ大会では、3連敗でリーグ戦で姿を消したものの、都市対抗東京都二次予選は全試合5点差以上をつけて第1代表権を獲得。本大会も初戦で太田市・富士重工業を十亀(日本大、埼玉西武1位指名)、片山(亜細亜大)のリレーで完封すると、続く浜松市・ヤマハとの2回戦も2点ビハインドをひっくり返し、十亀以下4人のリレーで逃げ切ると、広島市・三菱重工広島との準々決勝は小高(八王子北、鷺宮製作所から補強)があわやノーノーか、という快投(1安打)で完封。“弟分”仙台市・JR東日本東北との準決勝では完全試合男・森内(青森大。北海道日本ハム5位指名)から初回に5点を奪う速攻劇で制すと、東京都、東日本対決となったNTT東日本との決勝も、6回まで相手先発の小石(立正大。埼玉西武2位指名)の前に無安打11三振と抑え込まれたが、7回に主砲・松本(横浜商大)のソロで追いつくと、延長11回、無死二塁から再び松本が適時打を放ってサヨナラ勝ち、東鉄(東京鉄道管理局)時代から数えて81年目の悲願(ルーツである日本最初の野球チーム、新橋アスレチックスの創部から数えると134年目)を果たした。
都市対抗大会期間中にはドラフト会議で十亀が西武に1位指名、縞田(日本大)と川端(国際武道大)がオリックスに(縞田2位、川端8位)指名される嬉しい出来事もあった。彼ら3人が抜ける穴は決して小さくないが、戦力の厚みを誇るのがJR東である。若手、新人の台頭に期待がかかる。また、今年は大阪開催という事で本来の外野席をグリーンで覆い尽くす大応援が展開できなかった(あの動員力とパワーは本当にすごい)。東京ドーム開催に戻る来年は復活なるか。
NTT東日本-Nippon Telegraph and Telephone East-(東京都野球連盟所属)
今年度主要実績
第66回JABA東京スポニチ大会予選リーグ
第82回都市対抗野球大会準優勝
垣野多鶴監督就任3年目を迎えた今シーズン、東京スポニチ大会こそ予選で敗れたものの、東京都第2代表で乗り込んだ都市対抗本大会では、1回戦の高知市・四国銀行戦こそ苦戦したものの、延長の末に勝利すると、京都市・日本新薬との2回戦は終盤に突き放して3年連続の8強入り。準々決勝の大阪市・日本生命戦は、小石(立正大。埼玉西武2位指名)と海田(駒澤大。オリックス4位指名)の壮絶な投手戦となったが、延長11回に3点を入れて逃げ切ると、鹿嶋市・住友金属鹿島との準決勝は相手エース・石田(東京国際大)を中盤に攻略し、何と電電東京時代以来、30年ぶりの決勝(民営化後、NTTグループのチームが決勝進出するのは3チーム目)。その時以来の優勝を狙ったが最後は健闘を見せていた投手陣が力尽き、準優勝。垣野監督は三菱ふそう川崎時代から3度の決勝は全て勝っていたが4度目にして初黒星となった。
来年こそ悲願の黒獅子旗奪還なるか。まずは小石の抜けた穴をどう埋めていくかがカギか。
東芝-Toshiba-(神奈川県野球協会所属)
今年度主要実績
第66回JABA東京スポニチ大会予選リーグ
WORLD BASEBALL CHALLENGE 2011 3位
第82回都市対抗野球大会2回戦
今年の都市対抗から推薦出場制度が15年ぶりに復活したため、昨年度優勝の東芝は神奈川県予選を免除されることとなった。加えて日本選手権対象大会が中止になったことで調整も難しいものとなった。そのため、神奈川第1代表との壮行試合を戦った後、カナダで行われたWORLD BASEBALL CHALLENGE 2011に日本代表として出場、そこでキューバやハバナと言って強豪と対戦し3位という好結果を残し、本大会に挑むこととなった。
その本大会1回戦は投手登録ながら四番に入った服部(九州共立大)の3ランと、新垣(横浜商大)の3安打投球で神戸市・三菱重工神戸を完封。連覇に向けて幸先のいいスタートを切ったかのように見えたが、続く大阪市・日本生命との2回戦は先制しながら終盤に逆転を許し、連覇は成らなかった。
来季は江柄子(明治大。巨人6位指名)、安達(上武大、オリックス1位指名)と抜けるが、戦力的に大きく変わることはなさそう。カナダで活躍した若手の台頭に期待がかかる。
JX-ENEOS(神奈川県野球協会所属)
今年度主要実績
第66回JABA東京スポニチ大海優勝
第82回都市対抗野球大会1回戦
今季は波乱のスタートとなった。東京スポニチ大会は予選リーグCブロックを全勝で通過、ところが運命の3月11日、住友金属鹿島を準決勝で下し、迎えたNTT西日本との決勝が開始直後に東日本大震災が発生。結局試合はそのまま中止となり、NTT西との同時優勝となった。JXグループでも仙台、鹿島両製油所が津波で被災し、また根岸製油所も操業を停止。SS(サービスステーション)等に甚大な被害を出した。
こうした中で、都市対抗神奈川二次予選では圧倒的な強さで11年ぶりに第1代表権を獲得したが、迎えた本大会では3年前の決勝で下した春日井市・王子製紙に投手陣が捕まり、推薦出場した94年以来となる初戦敗退を喫した。
来季こそ、前人未到の大台(10回目の都市対抗優勝)到達なるか―。
三菱重工横浜-Mitsubishi Heavy Industries Yokohama-(神奈川県野球協会所属)
今年度主要実績
第82回都市対抗野球大会1回戦
前年初の都市対抗ベスト4入りを受け、さらなる上積みを目指した今季だったが、屈辱的な結果が待っていた…。
神奈川県二次予選では第1代表決定戦こそJX-ENEOSに敗れたものの、第2代表決定戦で相模原クラブに大勝し、3年連続の代表権を獲得。ところが迎えた本大会1回戦の仙台市・JR東日本東北戦はエース・亀川(法政大)が7回まで相手打線を無安打に抑える好投を披露するも、打線も相手先発の森内を捕える事が出来ない。迎えた8回、初安打を許すとそこから相手の猛攻を受けて一気に4失点。このビハインドを跳ね返す事が出来ないまま、森内に大会史上54年ぶり、1957年(昭和32年)の第28回大会で村上峻介(日鉄二瀬)が高砂市・鐘化カネカロン戦で達成して以来2人目となる完全試合を許した。
この悔しさは来季ぶつける。
トヨタ自動車-Toyota Motor-(愛知県野球連盟所属)
今年度主要実績
第66回JABA東京スポニチ大会予選リーグ
第82回都市対抗野球大会東海二次予選第4代表決定トーナメント2回戦
3回目の日本選手権優勝を果たした昨季に続き、悲願の都市対抗優勝を目指した今季だったが、思わぬ落とし穴が待っていた。
春の東京スポニチ大会は予選リーグで姿を消したものの、6月に行われた愛知県野球連盟杯で準優勝し、順調に進んでいるように見えたが、迎えた東海二次予選では予選リーグ初戦で王子に勝ったあと、ヤマハ、東邦ガスに連敗。リーグ戦最下位となって第4代表決定トーナメントに回ると、その初戦(2回戦)で東海REXにまさかの逆転負けを喫し、まさかの予選敗退を喫してしまった。
この悔しさは来年晴らすしかない。悲願の黒獅子旗へ、再び挑戦する。
西濃運輸-Seino Unyu-(岐阜県野球連盟所属)
今年度主要実績
第82回都市対抗野球大会2回戦
西濃野球部は過去に成績不振から休部していた時期があり(80年〜83年)、後藤寿彦監督就任2年目となった今季は正念場と言えた。
そんな中で迎えた都市対抗二次予選はまず、リーグ戦を2位で通過。第3代表決定トーナメントもヤマハに大勝し、三菱重工名古屋との代表決定戦は敗れたものの、JR東海との第5代表決定戦を制し、3年ぶり32回目の代表権を決めた。
迎えた本大会では1回戦の室蘭市・室蘭シャークス戦は終盤打線が奮起し、逆転で初戦突破を果たしたものの、続く仙台市・JR東日本東北との2回戦は延長戦にもつれ込む接戦となるも、10回に3点を失い、力尽きた。
厚みのある投手陣に若手とベテランが噛みあう打線と楽しみな要素の多い西濃。異色の捕手・小豆畑(中部学院大)の存在もあって、来季も目が離せそうにない。
パナソニック-Panasonic-(大阪府野球連盟所属)
今年度主要実績
第82回都市対抗野球大会1回戦
日産自動車最後の監督だった久保恭久副部長が監督に就任した今季は、都市対抗への復活出場が至上命題となった。
迎えた大阪・和歌山二次予選では予選リーグを3勝2敗の3位で通過。第2代表決定トーナメントへ進んだが、その初戦で大阪ガスにまさかの敗戦。近畿二次予選へ回ることとなってしまう。その近畿二次予選も1回戦で三菱重工神戸に敗れ、後のない状況になったが、そこからまずニチダイを撃破、そして大阪・和歌山二次予選のリベンジとなった大阪ガスとの代表決定戦も逆転で勝ち、2年ぶりの代表権を獲得。しかし、本大会では投手陣の力投に打線が応えられず同点で迎えた延長12回、一挙6点を取られ無念の初戦敗退となった。
とはいえ、「戦う姿勢という一つの形は作れた」と代表権を獲得した際に久保監督は語っている。あとは個々の能力がチームとしてどうまとまっていくか。
日本生命-Nippon Life Insurance-(大阪府野球連盟所属)
今年度主要実績
第82回都市対抗野球大会ベスト8
エース・杉浦(前監督)らを軸に最後に都市対抗を制したのは1997年(平成9年)のこと。以来翌年のベスト8入りを最後に都市対抗での上位進出から遠ざかっていたが、今季は久々に復調の兆しが見えた。
大阪・和歌山二次予選では4勝1敗ながら、NTT西に敗れたのが響いて2位となり、NTT西との再戦となった第1代表決定戦は投手陣がNTT西打線の前に大炎上(1-15)したものの、第2代表決定戦で大阪ガスを接戦の末に下し、代表権を獲得。すると本大会では初戦の仙台市・七十七銀行戦は相手の粘りに遭うも振り切って4年ぶりの初戦勝利。続く2回戦は前回覇者の川崎市・東芝に先制されるも、7回に2点を入れて逆転勝ち。実に13年ぶりのベスト8進出を果たした。東京都・NTT東日本との準々決勝は海田と小石のドラフト指名対決となり、延長の末に敗れたものの、常勝復活への第一歩を記した大会となった。
この勢いを来季につなげられるか。それが今後のカギになりそうだ。
JR九州-Kyushu Railway-(福岡県野球連盟所属)
今年度主要実績
第66回JABA東京スポニチ大会予選リーグ
第82回都市対抗野球大会1回戦
二大大会(都市対抗、選手権)準優勝の結果を受け、黒獅子旗の獲得を目指した今季だったが、思わぬ結果となった。
九州二次予選では準決勝のHonda熊本戦で自慢の守備が乱れ、5点リードを守り切れず敗れたものの、そこから敗者復活戦を勝ち上がり、第2代表で本大会出場を決める。しかし、本大会では名古屋市・JR東海に打線が抑え込まれ、まさかの初戦敗退を喫した。
戦力的には他チームと比べ劣るものの、意識の高さから試合で強さを見せるJR九州。来季こそ1936年(昭和11年)以来となる黒獅子旗奪還なるか。