トシ坊の注目チーム2012〜社会人野球総決算編〜

今シーズンは、昨シーズン震災の影響で中止となったJABA大会が復活し、都市対抗、日本選手権とも歴史的な1年となった。注目していたチームの戦いぶりは・・・(展望編はこちら)
JR北海道-Hokkaido Railway-(北海道野球連盟所属)
今年度主要実績
第54回JABA北海道大会予選リーグ
第83回都市対抗野球大会1回戦
第38回社会人野球日本選手権北海道最終予選リーグ戦


列車事故の影響を受け、都市対抗一次予選途中棄権という結果に終わった昨シーズン。今シーズンは震災の影響もあり、まともに野球が出来なかった1年分の思いを込めての戦いとなった。
復帰後初の公式戦となった都市対抗一次予選では圧倒的な強さを見せて勝ち抜き、二次予選では室蘭シャークス航空自衛隊千歳の粘りに手を焼いたものの2年ぶりの代表権を獲得。本大会では元プロ選手の門倉健(伊達聖ヶ丘病院)を補強して話題を集めたが、迎えた豊田市トヨタ自動車との1回戦は、2-2の同点で迎えた7回にその門倉がトヨタ・坂田(駒澤大)にツーランを打たれ、初戦突破はならなかった。
日本選手権最終予選は、空自千歳、WEEDしらおいに連勝、大阪行きに王手をかけたが、最終戦の室蘭戦でまさかの0-1の敗戦。この結果、室蘭、空自千歳、JR北の3チームが2勝1敗で並び、得失点率(得点率-失点率)の上位2チームがプレーオフに進む勝負に持ち込まれた結果、得失点率が一番劣るJR北が脱落、という思わぬ結末で、シーズンを終えた(リーグ戦における順位決定に関する取扱要項はこちらを参照)。
ともあれ、再び表舞台に戻ってきたJR北。来シーズン以降どんな戦いを見せていくのか。


TDK(秋田県野球連盟所属)
今年度主要実績
第65回JABAベーブルース杯争奪大会予選リーグ
第43回JABA東北大会予選リーグ
第54回JABA北海道大会予選リーグ
第83回都市対抗野球大会1回戦
第38回社会人野球日本選手権大会東北最終予選ベスト4


ここ数年の成績不振から巻き返しを図るTDKは、2006年(平成18年)に都市対抗優勝時の主将・川本大コーチを新監督に据えたが、今シーズンも苦戦を強いられた。
5月のベーブルース杯では予選リーグBブロック3試合中2試合で1点差試合を落とし、3敗で予選落ち。東北大会でも予選リーグCブロック2勝1敗ながら及ばず。不本意な戦いが続いた中で迎えた都市対抗予選では代表決定トーナメントで厳しい戦いが続いたものの、JR東日本東北、日本製紙石巻を2試合連続1点差試合で下し、第1代表で東京ドームに乗り込んだが、本大会の初戦、狭山市・ホンダ戦で1点を先制しながら、エース・阿部(正。軽井沢)がHonda打線に捕まり5失点で4回途中降板。中盤の反撃も及ばず、優勝した2006年以来の勝利はならず。
大阪ドーム行きを狙った選手権最終予選では、初戦(2回戦)で都市対抗予選のリベンジを狙うJR東北を下したものの、準決勝で七十七銀行に敗れ大阪行きはならなかった。
TDKは昨年12月、鳥海工場でのフェライトコア生産を、2014年(平成26年)3月末を目標に稲倉工場への移管・集約を表明している。この状況が続くようだと、野球部の存在意義も危うくなると思ってしまうのは私だけだろうか・・・。


JR東日本東北-East Japan Railway Tohoku-(宮城県野球連盟所属)
今年度主要実績
第67回JABA東京スポニチ大会予選リーグ
第35回JABA日立市長杯争奪大会予選リーグ
第43回JABA東北大会予選リーグ
第83回都市対抗野球大会東北二次予選敗者復活トーナメント1回戦
第38回社会人野球日本選手権大会東北最終予選2回戦


昨年の都市対抗で史上2人目の完全試合を達成し、チーム初の4強入りに貢献したエース・森内(北海道日本ハム)が抜けた穴をどう埋めるかがカギとなった今シーズンだったが、スタートでいきなり躓いた。東京スポニチ大会予選リーグの初戦で、JFE東日本のベテラン右腕・三橋(上武大)に無安打無得点試合を決められてしまったのだ。結局これが響き、1勝2敗で予選リーグ敗退。日立市長杯では、日立製作所明治安田生命と2勝1敗の同率で並んだ末得失点率差で及ばず、東北大会ではTDK住友金属鹿島(当時)に大敗し、予選敗退に終わった。
さらに、迎えた都市対抗予選では昨年からの課題とされていた打線の弱さが露呈。予選リーグAブロックではクラブチーム相手の2試合で二桁得点を挙げたものの、その後の代表決定トーナメントを含めた企業チーム相手では3試合で僅か7点。結局敗者復活トーナメントで七十七銀行に敗れ姿を消すと、選手権予選でも、トヨタ自動車東日本には7-0と勝ったものの、TDKに完封で敗れ、2大大会への出場を逃した。
JR東北は昨年の都市対抗の三番、四番を補強選手(いずれもTDKから補強の菅原、近藤)に任せなければならないほど、中軸候補と言える選手が見当たらない。打線の迫力不足解消が見られないと、来年以降も厳しい戦いを強いられそうだ。


日本製紙石巻-Nippon Paper Ishinomaki-(宮城県野球連盟所属)
今年度主要実績
第59回JABA静岡大会予選リーグ
第43回JABA東北大会ベスト4
第83回都市対抗野球大会東北二次予選第2代表決定戦
第38回社会人野球日本選手権大会東北最終予選代表決定戦


震災の影響がまだ残る中の活動となったが、あと一歩に泣かされ続けた1年となった。
シーズン最初の大会となった静岡大会は、予選リーグ初戦でJR東海に勝利したものの、その後Honda鈴鹿日立製作所に連敗し予選敗退。続く東北大会では住友金属鹿島に大敗したものの、ベスト4入りを果たし、2年ぶりの都市対抗出場に向けて順調に進んでいるかに思われた。
ところが、そんな中で迎えた都市対抗二次予選で悪夢を見る。予選リーグ3試合はクラブチームを相手にいずれも圧勝。予選リーグCブロックを1位で代表決定トーナメントに進み、準決勝でも七十七銀行に1-0で勝利。このまま都市対抗出場と思われた矢先、第1代表決定戦でTDKにまさかのサヨナラ負け。第2代表決定戦では七十七銀行にリベンジをされ、まさかの二段落ちという結果に終わった。巻き返しを図った日本選手権最終予選でも、JR盛岡、JR秋田を下し、代表決定戦まで進むも、そこでまたしても七十七銀行に敗れ、二大大会への出場を逃す結果に終わった。
石巻復興のシンボルとしての期待がかかっているチームにとって、これほど悔しいシーズンはない。来年こそ東京ドームに石巻市旗を掲げる事が出来るか。


七十七銀行-77 Bank-(宮城県野球連盟所属)
今年度主要実績
第54回JABA長野県知事旗争奪野球大会ベスト4
第43回JABA東北大会予選リーグ
第54回JABA北海道大会予選リーグ
第83回都市対抗野球大会1回戦
第38回社会人野球日本選手権大会ベスト8


今シーズン、チームは危機的状況からスタートした。昨年の都市対抗出場の原動力となったエース・阿部(東北学院大)が、右肘を故障して戦線離脱。柱を欠いた状態でシーズンに挑まねばならなくなったのだ。
だが、この状況に投手陣が奮起。長野大会では新人・相原(東北福祉大)らの活躍でベスト4入り。特に相原は予選リーグのトヨタ自動車戦で公式戦初先発初完封、というオマケも付いた。
都市対抗二次予選では代表決定トーナメントで日本製紙石巻に敗れ敗者復活戦に回り、そこからJR東北、石巻を連覇し、本大会へ出場。1回戦で大阪市NTT西日本に敗れたものの、日本選手権では接戦続きとなった東北最終予選を勝ち抜き、本大会でも自衛隊チーム初の全国大会出場を果たした航空自衛隊千歳、バイタルネットを下し8強入りを果たした。
来シーズンは、阿部の復帰にも期待がかかり、阿部、相原の左右の二枚看板の活躍に期待が持てる。小野賞に輝いた2004年(平成16年)の都市対抗以来となる4強入りは果たして。


新日鐵住金鹿島(旧名称:住友金属鹿島)-Nippon Steel & Sumitomo Metal Kashima-(茨城県野球連盟所属)
今年度主要実績
第35回JABA日立市長杯争奪大会予選リーグ
第43回JABA東北大会優勝
第83回都市対抗野球大会北関東二次予選代表決定リーグ
第38回社会人野球日本選手権大会1回戦


今シーズンは特別な思いを胸に戦いに挑んだ。10月1日の新日本製鐵との経営統合により、社名が「新日鐵住金」に変わることで、本社チーム(和歌山県和歌山市。99年解散)から続いてきた「住友金属」の名前が、都市対抗を最後に社会人球界から消える事になっていたからである。
4月の日立市長杯では予選敗退に終わったものの、絶対的エース・石田(東京国際大)は登板せず、多司(PL学園)、佐藤(朔。東北)、石崎(三和)、和田(明桜)といった若手が経験を積み、5月の東北大会では予選リーグでTDK信越硬式野球クラブ、JR東北を連続コールで下して決勝トーナメントに進むと、準決勝も地元の日本製紙石巻をコールドで粉砕し、決勝でもJR東日本に快勝。都市対抗への道は順調に見えた。
しかし、落とし穴が待っていた。迎えた都市対抗北関東二次予選のリーグ戦初戦で同県の日立製作所に敗れると、続く全足利クラブに勝ち代表権争いに残ったものの、勝てば日立、富士重工業との三つ巴プレーオフに持ち込めた富士戦で、石田の好投も空しく、完封負けを喫し、“住金”最後の夏を東京ドームで迎える事は出来なかった。
さらに新チーム名で迎えた日本選手権も、1回戦で東邦ガスに敗れ、好結果を残すことは出来なかった。
都市対抗での一昨年、昨年と2年連続で4強入りから、足踏みした今シーズン。来年こそは決勝の壁を超える事が出来るか。


Honda(埼玉県野球連盟所属)
今年度主要実績
第35回JABA日立市長杯争奪大会優勝
第63回JABA京都大会予選リーグ
第83回都市対抗野球大会2回戦
第38回社会人野球日本選手権大会2回戦


今シーズンのHondaはアクシデントからスタートした。4月上旬に列島を襲った春の嵐の影響で、笠幡グラウンドの防球ネットが倒壊、この影響でグラウンドでの打撃練習が不可となり、各打者の打ち込み不足が懸念されたのである。
しかし、そんな不安も直後の日立市長杯で消えた。予選リーグの初戦からきらやか銀行相手に8点を取るなど、打線の活躍で決勝へ進出。決勝の日立戦は前半で5点のビハインドも、1点を返して迎えた7回に一挙5点の猛攻でひっくり返し、逆転で初優勝。京都大会でも打線が好調で、この調子を維持したまま都市対抗二次予選に挑むと、ライバルのJFE東日本、日本通運を連覇し、3年ぶりに第1代表権を獲得。本大会では社会人生活22年目のベテラン・西郷(日本学園)が初戦のにかほ市TDK戦で杉山孝一(元新日本製鐵名古屋)の持つ、都市対抗通算14本目の本塁打を放ち、またひとつ社会人野球の顔に大きな勲章が加わった。
しかし、続く川崎市東芝戦は打線が5安打と沈黙。先発・櫻田(八戸大)ら投手陣の好投も及ばず、完封負け。日本選手権では初戦の西濃運輸戦こそ逆転で勝利したものの、3年前の決勝の再戦となったJR九州との2回戦は、3点を先制しながら、リリーフしたエース・筑川(東海大)が打ち込まれ、まさかの逆転負け。結局、頂点を極める事は出来なかった。
来シーズンは下水流(しもずる。青山学院大)が広島東洋から4位指名を受け入団、2009年(平成21年)のドラフトで中日から6位指名を受けながら入団を拒否した諏訪部(中越)ら5選手が抜ける事になるが、影響は小さいか。また、西郷の都市対抗最多本塁打記録の更新の可能性も残ったので、引き続き注目していきたい。


新日鐵住金かずさマジック(旧名称:市民球団かずさマジック)-Nippon Steel & Sumitomo Metal Kazusa Magic-(千葉県野球連盟所属)
今年度主要実績
第67回JABA東京スポニチ大会ベスト4
第54回JABA長野県知事旗争奪野球大会予選リーグ
第65回JABAベーブルース杯争奪大会ベスト4
第83回都市対抗野球大会南関東二次予選第3代表決定戦
第38回社会人野球日本選手権大会2回戦


2年ぶりの都市対抗出場を目指した今シーズンは、これまでチームの主力として活躍してきた和田(明治大)、鬼崎(九州共立大。弟は西武の鬼崎裕司)といった面々がチームを離れ、主将が米田(平成国際大)、副将も山縣(早稲田大)、岡野(常磐大)の4年目トリオに変わるなど、一気に若返った。
新体制で迎えた東京スポニチ大会では予選リーグでJR東日本NTT西日本と強豪を連破し、さらに同じ新日鐵の広域企業チーム、東海REX(現・新日鐵住金東海REX)も下してベスト4入り。5月のベーブルース杯でもベスト4入りするなど、2年ぶりの都市対抗出場に向けて順調に進んでいるかに見えた。
しかし、迎えた都市対抗二次予選準決勝で、日本通運に敗れ敗者復活戦に回ると、そこを勝ち進んで第2代表決定戦に進出も、日通相手に5点リードを守り切れずに逆転負け。第3代表決定戦では、敗者復活2回戦で下したJFE東日本相手に終盤投手陣が打たれ、東京ドームへの道を閉ざされる結果になってしまった。
それでも、日本選手権関東最終予選で三菱重工横浜を下して2大会連続出場を決めると、本大会では4年前の準優勝チーム、JR東海を下し、実に10年ぶりの勝利を挙げ来シーズンに大きな期待を持たせる締めとなった(2回戦で日本生命に敗退)。
来シーズンは補強選手として都市対抗を経験した面々を中心に、2大大会への出場を目指す。


JR東日本-East Japan Railway-(東京都野球連盟所属)
今年度主要実績
第67回JABA東京スポニチ大会予選リーグ
第54回JABA長野県知事旗争奪野球大会準優勝
第43回JABA東北大会準優勝
第54回JABA北海道大会優勝
第83回都市対抗野球大会準優勝
第38回社会人野球日本選手権大会準優勝


今シーズンを迎えるにあたって、チームは「マイナス7からのスタート」(堀井哲也監督)だった。昨年の都市対抗優勝に貢献した十亀(埼玉西武)、縞田、川端(共にオリックス)がプロ入り、昨年の都市対抗で左足に重症を負った主将・齋藤(明治大)の回復も思わしくなく、さらに都市対抗に推薦出場することから、最大3名獲れる補強選手も獲れない、という事情からこの言葉が出たのだが、シーズンインとなった3月のスポニチ大会では直前までのアメリカ遠征の影響からか、まさかの3連敗で予選敗退。らしくない戦いが続き、不安を抱かせた。
しかし、4月の長野大会では予選リーグを3連勝で通過し、決勝で東邦ガスに敗れたものの準優勝。5月の東北大会でも準優勝し、調子を上げていくと、都市対抗前の北海道大会では昨年の都市対抗決勝の再戦となったNTT東日本を決勝で下し優勝。いい流れのまま都市対抗に挑むことになった。
その都市対抗では、初戦の春日井市王子製紙戦で初回に速攻で4点を奪い、ルーキー・吉田(日本大)の好投で物にすると、2回戦は昨年の大会でも下した太田市富士重工業に逆転勝ち。準々決勝は因縁の相手、川崎市東芝(5年前の決勝、2年前の2回戦で敗れ、何れも東芝は優勝している)との対決となったが、3試合連続先発の吉田が9回二死まで相手の強力打線を3安打無失点に抑える好投。打線も2年前の橋戸賞投手・藤田(九州共立大)ら3投手を攻略し、ベスト4へ。その千葉市JFE東日本戦は2点リードを8回に追いつかれる展開となったが、その裏に重谷(千葉経大付)が劇的な決勝弾を放ち2年連続の決勝進出を果たす。
50年ぶりの都市対抗連覇を賭けた決勝は、その50年前、最後に都市対抗連覇を遂げた横浜市JX-ENEOSが相手。初回に二死二塁から四番・松本(横浜商大)の適時打で先制すrと、同点に追い付かれた3回には一死満塁から石岡(神戸国際大付)の2点適時打で再度勝ち越し。前半を終わって3-1とリードしたが、6回に二死から一、二塁のピンチを招き、味方の失策と、山岡の逆転スリーランで逆転を許すと、このビハインドを跳ね返すことが出来ず、準優勝に終わった。
日本選手権は新日鐵住金広畑との初戦を吉田の好投と打線の活躍で物にすると、続く日本通運との2回戦も前半に打線が爆発して勝負を決め、ベスト8へ。JRグループ対決となったJR九州戦は共に5安打ずつしか打てない投手戦となったが、吉田、斎藤(貴。帝京大)のリレーで1点リードを守りきると、地元・パナソニックとの準決勝は2点リードされ迎えた中終盤に打線が爆発。ドラフト候補に名前の挙がっていたパナのエース・秋吉(中央学院大)ら4投手を攻略し、初の決勝へ進出したのだが、そこに立ちはだかったのがまたしてもENEOS
初回に池辺の適時打で1点を先制された後は、吉田が相手打線を抑え込んでいたものの、6回に井領(桐蔭学園)、宮澤(明治大)に一発を撃たれ、その後の反撃も及ばず。夏のリベンジを果たすことは叶わなかった。
それでも、この1年ですっかりエースに成長した吉田、新人ながら縞田が抜けた後の遊撃のレギュラーをつかみ、ヒットを量産した田中(広。東海大)、DHとして打棒を振るった畑中(横浜商大)ら、新戦力の台頭が光った今シーズン。主力3人がプロ入りした不安は杞憂に終わった。来シーズンはさらなる飛躍を胸に、再び黒獅子旗を目指す。


NTT東日本-Nippon Telegraph and Telephone East-(東京都野球連盟所属)
今年度主要実績
第67回JABA東京スポニチ大会予選リーグ
第41回JABA四国大会予選リーグ
第63回JABA京都大会予選リーグ
第54回JABA北海道大会準優勝
第83回都市対抗野球大会ベスト4
第38回社会人野球日本選手権大会関東最終予選1回戦


垣野監督就任4年目となった今シーズン、あと一歩の所で優勝を逃した都市対抗の雪辱を目指したシーズンとなった。
しかし、春先の選手権対象大会は惜しい試合が続き何れも予選敗退。接戦になった時の戦いに不安を感じさせたが、都市対抗二次予選では打線が爆発。初戦のWIEN'94戦で7点を奪うと、準決勝の鷺宮製作所戦は初回に5点を奪う猛攻で、その後も攻撃の手を緩めず10-0の大勝。セガサミーとの第1代表決定戦は初回から激しい点の取り合いとなったが、中盤に打線が爆発して9-4で快勝。第1代表でドームに乗り込むと、名古屋市JR東海との初戦は1点を争う展開となったが、黒田(東京農大)、岩佐(成立学園東京ガスから補強)のリレーで逃げ切ると、2回戦は豊田市トヨタ自動車の強力打線を井納(上武大。横浜DeNA3位指名)が8回5安打2失点に抑える好投。打線も前半2回で7点を奪い勝負を決めると、昨年に続いての対戦となった大阪市日本生命との準々決勝は、終盤3イニングで7点を奪い、終わってみれば10-0の大勝。垣野監督も打撃指導の効果を口にしていたが、横浜市JX-ENEOSとの準決勝はENEOSの左腕、大城(名桜大)を捉え切れず、終盤まで無得点。6回にENEOS・泉(早稲田大)にスリーランを打たれるとこのリードを跳ね返せず、無念の黄獅子旗止まり。選手権関東最終予選では日本通運の前に自慢の打線が抑え込まれ、大阪ドームへの道を閉ざされた。
NTT東として初めての優勝(電電東京時代の81年に優勝経験あり)も近くまできており、あとは越えられない壁をどう越えるか。それが大きなポイントになる。


セガサミー-Sega Sammy-(東京都野球連盟所属)
今年度主要実績
第67回JABA東京スポニチ大会予選リーグ
第63回JABA京都大会予選リーグ
第83回都市対抗野球大会2回戦
第38回社会人野球日本選手権大会関東最終予選1回戦


チーム創設7年目を迎えた今シーズン、全国での上位進出を目指したが、厳しい1年となった。
シーズン開幕の東京スポニチ大会では予選3試合何れも1、2点差の試合を勝ち切れず、3連敗で予選敗退。5月の京都大会ではヤマハに勝利したものの、大阪ガス三菱重工神戸に敗れ、またしても決勝トーナメントに進めず。迎えた都市対抗二次予選ではルーキー・浦野(愛知学院大)の好投で東京ガス明治安田生命を連破し、第1代表決定戦までコマを進めたが、第1代表決定戦で投手陣がNTT東の強力打線に打ち込まれ完敗すると、翌日の第2代表決定戦では明治安田にリベンジされ連敗。第1代表決定戦まで進みながら、そこから5連敗して代表権を逃した創部1年目の2006年(平成18年)の悪夢の再来かと思われたが、あとが無くなった東京ガスとの第3代表決定戦で、浦野が3安打完封の快投を見せ、どうにか2年連続の出場権を掴み取った。
迎えた都市対抗本大会、初戦のさいたま市日本通運戦は、中盤まで両軍無得点の緊迫した投手戦。7回に2点を先制されたものの、8回に宮崎(日本文理大。横浜DeNA6位指名)が劇的なグランド・スラムを放ち、3年ぶりに本大会勝利を挙げたが、続く横浜市JX-ENEOS戦は序盤の2点ビハインドを追い付けず、結局1-2で敗戦。またしても2勝目の分厚い壁にぶち当たった。続く選手権関東最終予選は、初戦で三菱重工横浜に敗れ、姿を消している。
来シーズンはチームの中軸でもあった宮崎、赤堀(横浜DeNA4位指名)らが抜け、攻撃陣に大きな変化が生じる。果たして来年のチーム構成にどう影響を与えるか。


東京ガス-Tokyo Gas-(東京都野球連盟所属)
今年度主要実績
第59回JABA静岡大会予選リーグ
第35回JABA日立市長杯争奪大会予選リーグ
第65回JABA九州大会予選リーグ
第83回都市対抗野球大会東京都二次予選第3代表決定戦
第38回社会人野球日本選手権大会関東最終予選1回戦


前年まで3年連続で都市対抗出場し、都市対抗優勝を狙った今シーズンだったが、結果は芳しくなかった。
シーズンインとなった静岡大会は、東海REX(当時)に敗れるなどして振るわず、予選敗退。続く日立市長杯では予選リーグBブロックで2勝1敗の成績を残すも決勝トーナメントに進むことは出来ず、九州大会でも強豪揃いとなった予選リーグCブロックで2勝1敗の成績も、全勝のJR九州には及ばなかった。
そんな中で都市対抗二次予選に挑むこととなったが、初戦でセガサミーに敗れいきなり敗者復活戦に回るピンチ。続く敗者復活1回戦でもゴールドジムベースボールクラブに辛勝と、苦戦。その後2回戦で鷺宮製作所に勝利したものの、3回戦で明治安田生命に敗れ、第3代表決定戦へ回るも、二段落ちしてきたセガサミーにまたしても敗れ、4年連続出場を逃す結果になった。続く日本選手権関東最終予選も1回戦で東芝に敗れ、寂しい1年となった。
この悔しさを来年どうぶつけるか。再び勝負の年になる。


鷺宮製作所-Saginomiya Seisakusho-(東京都野球連盟所属)
昨年度主要実績
第67回JABA東京スポニチ大会予選リーグ
第65回JABAベーブルース杯争奪大会予選リーグ
第83回都市対抗野球大会東京都二次予選敗者復活2回戦
第38回社会人野球日本選手権大会1回戦


2009年(平成21年)に都市対抗と選手権に連続出場したのを最後に全国の舞台から遠ざかっている鷺宮。長年チームの投打の柱として活躍してきた岡崎、清水(共に東洋大)が引退し、全くの新しいチームとしてスタートを切ることになった。
ただ、春先からの選手権対象大会はいずれも惜しい試合が続き、スポニチ大会、ベーブルース杯とも予選敗退。それでも昨年JR東の補強選手として都市対抗優勝を経験した小高(八王子北)、村上(法政大)を中心に、3年ぶりの都市対抗出場を目指したが、準決勝でNTT東に大敗。敗者復活戦でも東京ガスに敗れ、3年連続予選敗退の屈辱を味わってしまう。
だが、この悔しさは秋の選手権予選で結実する。関東最終予選の代表決定戦(鷺宮は1回戦シード)で、都市対抗出場の明治安田生命を高橋(國學院大)、高山(東海大)のリレーで完封し、2大会ぶりの選手権出場を決めたのだ。本大会ではパナソニックのエース・秋吉(中央学院大)に2安打完封を喫し、初戦敗退に終わったものの、新しい一歩を記した。
来シーズンこそ、4年ぶりの都市対抗出場を果たしたい。

JX-ENEOS(神奈川県野球協会所属)
今年度主要実績
第67回JABA東京スポニチ大会予選リーグ
第41回JABA四国大会優勝
第83回都市対抗野球大会優勝
第38回社会人野球日本選手権大会優勝


今シーズンのENEOSの立ち上がりは、決して順風満帆というわけではなかった。東京スポニチ大会では投打とも思うような結果を残せず、まさかの予選リーグ敗退(1勝2敗)。2008年(平成20年)から続いていた決勝戦進出を早々に絶たれてしまった。
だが、1ヶ月後の四国大会では投打とも爆発。予選リーグ2戦目以降危なげなく勝ち進んでいくと、NTT西日本との決勝では同点で迎えた9回に井領(桐蔭学園)のサヨナラ弾で初優勝を飾ると、都市対抗西関東二次予選では準決勝で東芝に敗れたものの、敗者復活戦を勝ち抜き、三菱重工横浜との第2代表決定戦では三上(法政大。新人)が6回までパーフェクトピッチングを見せる快投を見せ、代表権を獲得。
迎えた本大会では粘り強さが光った。初戦の名古屋市・ジェイプロジェクト戦、2回戦の東京都・セガサミー戦と何れも2-1の接戦を制して、優勝した2008年以来のベスト8入りを決めると、その門真市パナソニック戦は初回に2点を先制される立ち上がりとなったが、2回に井領の3ランなどで4点を入れ逆転すると、その後の点の取り合いを制してベスト4へ。東京都・NTT東日本との準決勝は両チーム無得点の6回に泉(早稲田大)の決勝3ランが飛び出し、NTT東の反撃を振り切ると、連覇を目指す東京都・JR東日本との決勝は中盤まで2点リードを許す展開も6回に二死から相手失策の間に1点を返し、さらにこの大会不振に喘いでいた山岡(早稲田大)の勝ち越し3ランで逆転。このリードを守り切って、優勝回数をついに大台の10回目に乗せる事に成功。1956年(昭和31年)の27回大会で初の決勝進出で優勝して以来続く決勝戦の連勝記録も「10」に伸ばし、“不敗神話”健在をアピールした。
そして今季の最後を飾る選手権では、1回戦の三菱重工広島戦こそ10-5の打撃戦を制したが、続く2回戦のニチダイ、準々決勝の日本生命、準決勝のトヨタ自動車との試合は何れも1点差を投手陣が守り抜くという胃が痛くなる展開になった(3-2、2-1、1-0)ものの、優勝した1991年(平成3年)以来となる決勝進出を果たす(特にここ数年、京セラドームでは大阪開催となった昨年の都市対抗を入れると、初戦敗退とベスト4止まりを1年おきに繰り返していたので、ようやく決勝の壁を乗り越えたことになる)と、決勝の相手はまたしてもJR東。だが、都市対抗の時とは逆に、初回に1点を先制すると、6回に井領、宮澤(明治大)の一発で突き放し、投げても屋宜(国士舘大北海道日本ハム6位指名)、沼尾(文星芸大付)のリレーでJR東を夏に続いて撃破。21年ぶり2回目のダイヤモンド旗を獲得すると共に、1988年(昭和63年)に東芝が成し遂げて以来となる、都市対抗、選手権の2大会制覇を果たしたのだ(余談ながら、都市対抗と日本選手権の決勝の顔触れが同一となったのは史上初)。
大久保監督は今秋発売された「GRAND SLAM №40」(小学館)でのJR東・堀井監督との対談や、野球部ホームページで「都市対抗の成績が振るわないだけで弱いと思われるようになって悔しかった」「都市対抗に勝たなければ会社は評価してくれないと、あえて選手に話した」ことを明かしているが、まさにその通りで、2008年にV9を達成した後の都市対抗に於ける成績は振るわなかった。それだけに、今回の快挙は、選手達にとって大きな自信になったはずだ(来年は都市対抗に推薦出場することで補強選手が獲れないので、日本選手権での優勝は大きい)。
今年の結果が、新しい黄金時代への序曲になるか。大いに期待される。


三菱重工横浜-Mitsubishi Heavy Industries Yokohama-(神奈川県野球協会所属)
今年度主要実績
第67回JABA東京スポニチ大会予選リーグ
第54回JABA長野県知事旗争奪野球大会ベスト4
第83回都市対抗野球大会西関東二次予選第2代表決定戦
第38回社会人野球日本選手権大会1回戦


昨年の都市対抗では仙台市・JR東北の森内に大会史上2人目の完全試合を許した三菱横浜。その雪辱を果たしたかった今シーズンだったが、結果は芳しくなかった。
3月のスポニチ大会では予選リーグBブロックで日本通運と2勝1敗で並びながら、直接対決で敗れたのが響き、予選敗退。それでも長野大会では予選リーグ2試合を完封し、ベスト4進出と、4年連続の都市対抗出場へ向けて視界は良好に思われた。
しかし、迎えた都市対抗西関東二次予選で思わぬ戦いを強いられる。クラブチーム2チームを下し進んだ東芝との第1代表決定戦は、3回に1点を先制したものの、その後追加点を奪えず、迎えた7回に東芝の代打・平田(亜細亜大)に同点弾を浴びると、その後もお互い譲らずに延長戦に突入。試合時間4時間を経過して迎えた16回、2番手でマウンドに上がっていた鶴田(日本体育大)が二死一、三塁の場面で痛恨のボークを犯し、まさかの逆転負け(この試合自分は東芝応援席にいた。試合時間4時間19分は、観戦してきた試合の中では3年前の都市対抗神奈川第1代表決定戦・日産自動車×三菱重工横浜戦で5時間超の引き分け試合を観戦して以来の長時間ゲームになった)。翌日の第2代表決定戦でもENEOS投手陣の前に打線が沈黙し、4年ぶりに代表権を逃した。
選手権関東最終予選では、初戦でセガサミーに勝利したものの、代表決定戦でかずさマジックに逆転負け。敗者復活戦に回ったが、そこで明治安田生命を下すと、最後の椅子を賭けた東芝との一戦は序盤にリードを奪い、終盤の東芝の反撃を断ち切って逃げ切り勝ち。都市対抗二次予選の雪辱を果たしたが、初戦でNTT西日本の投手陣の前に打線が沈黙、0-0で迎えた延長12回、タイ・ブレークの末にサヨナラ負けし、初戦敗退となった。
来シーズンは、2年分の悔しさをぶつける1年になる。果たしてどんな結末が待っているか・・・。


東芝-Toshiba-(神奈川県野球協会所属)
今年度主要実績
第59回JABA静岡大会予選リーグ
第35回JABA日立市長杯争奪大会ベスト4
第65回JABA九州大会予選リーグ
第54回JABA北海道大会ベスト4
第83回都市対抗野球大会ベスト8
第38回社会人野球日本選手権大会関東最終予選敗者復活代表決定戦


安達(オリックス)、江柄子(巨人)の2人が抜け、主将を務めてきた井関(青山学院大)もチームを離れたものの、陣容に大きな変化は出ず、8度目の黒獅子旗を目指した今シーズン、静岡大会では予選リーグ敗退に終わったものの、日立市長杯では予選リーグ3連勝と強さを見せベスト4に進出。順調に結果を残していく。
都市対抗二次予選では、準決勝でENEOSを下すと、三菱横浜との第1代表決定戦は延長16回にまで縺れ込む死闘。エース・新垣(横浜商大北海道日本ハム5位指名)まで投入する総力戦の末、相手投手のボークで決勝点を奪って第1代表を獲得。本大会でも名古屋市東邦ガス狭山市・ホンダを下しベスト8まで進出するも、都市対抗では過去2回対戦して負けなしの東京都・JR東に完封負けを喫し、2年ぶりの優勝はならず。選手権最終予選は東京ガスを接戦の末に勝利したものの、同業・日立製作所との代表決定戦は中盤に投手陣が打たれ、まさかの7回コールド負け。敗者復活戦で富士重工業を下したものの、三菱横浜に都市対抗二次予選のリベンジを喰らい、出場を逃した。
来シーズンは新垣に加え、要所を締めてきたベテラン右腕・木戸(東北福祉大)もチームを離れ、投手陣が再編される。選手権最終予選で登板した野田(日本大)、川角(青山学院大)ら、若手がどれだけ穴を埋められるかがカギになりそうだ。


JR東海-Central Japan Railway-(愛知県野球連盟所属)
今年度主要実績
第59回JABA静岡大会予選リーグ
第65回JABA九州大会ベスト4
第83回都市対抗野球大会1回戦
第38回社会人野球日本選手権大会1回戦


75年ぶりの都市対抗ベスト8入り(国鉄時代!)という実績を残して迎えた今シーズン、チームの体制は大きく変わった。これまで長年に亘って主砲として活躍し、東海地区はもとより社会人野球を代表する強打者のひとりとして活躍してきた青山眞也氏が現役を退き、即新監督に就任したのである。
静岡大会では予選リーグDブロックを1勝2敗で終わったものの、5月の九州大会では予選リーグAブロックで東芝に勝利するなど、3連勝でベスト4に進出し、直後に始まった都市対抗東海二次予選では、予選リーグCグループを三菱自動車岡崎に完封負けを喫したものの、トヨタ自動車に引き分け、西濃運輸を1点差で振り切って第3代表決定トーナメントに進出。1回戦でHonda鈴鹿を下し、第3代表決定戦でトヨタ自動車に延長戦の末に敗れたものの、第5代表決定戦で三菱重工名古屋を下し、2年連続で都市対抗出場を決めた。しかし、本大会では1回戦、東京都・NTT東日本と終盤まで互角の戦いを展開するも打線が3安打に抑え込まれたのが響いて1回戦敗退。選手権東海最終予選では初戦でヤマハを下すと、東海理化との代表決定戦は、7点リードを最終回に一気に2点差まで詰められるというハプニングがあったものの、3大会ぶりに代表権を獲得。しかし、新日鐵住金かずさマジックとの初戦は両チーム無得点の7回に2点を先取されると、このビハインドを跳ね返せず、敗退。思うような結果を残すことは出来なかった。
来シーズンはどうなるか。まずは激選の東海地区を勝ち抜く所から。


トヨタ自動車-Toyota Motors-(愛知県野球連盟所属)
今年度主要実績
第59回JABA静岡大会優勝
第54回JABA長野県知事旗争奪野球大会予選リーグ
第43回JABA東北大会予選リーグ
第83回都市対抗野球大会2回戦
第38回社会人野球日本選手権大会ベスト4


昨シーズンは都市対抗に出場出来ず、その雪辱を晴らそうと挑んだ1年となったが、別な意味で悔しい1年となった。
静岡大会では予選リーグから接戦続きとなったが、予選リーグCブロックを3連勝で通過すると、決勝トーナメントでは準決勝でヤマハ、決勝で日立製作所を連破し、初優勝。最優秀選手賞を獲得した2年目の上杉(中京大)ら、投手陣の安定度が光った。その後の長野大会と東北大会は予選敗退したものの、簡単に点を与えず、そのまま都市対抗二次予選に進むと、東海二次予選では予選リーグCブロックを2勝1引分で1位通過、第2代表決定戦は、王子製紙(現・王子)と延長16回に縺れ込む死闘の末に敗れたものの、第3代表決定戦でJR東海をやはり延長の末に下して本大会に復活。しかし、本大会では初戦の札幌市・JR北戦、坂田(駒澤大)がJR北の補強選手、門倉(伊達聖ヶ丘病院)から勝ち越しツーランを放って勝利したものの、続く東京都・NTT東との2回戦は先発・祖父江(愛知大)が1回持たず、打者7人3失点で降板。2回にはNTT東の五番・平野(国士舘大)にグランドスラムを浴び、前半で勝負を決められた。
都市対抗の雪辱と、連覇を狙った日本選手権では、初戦のHonda熊本戦を高阪(横浜商大)のツーランなどで挙げた5点を投手陣が守りきると、NTT西日本との2回戦は、直前のドラフトで横浜DeNAから5位指名された安部(近畿大)を打線が4回に打ち込み(ただし、西武1位の増田には2回をノーヒットに抑え込まれた)、7-1で大勝。東邦ガスとの東海対決となった準々決勝は、1回に先制されたものの、その裏に4点を奪い逆転すると、このリードを上杉、岩崎(樟南)、佐竹(早稲田大)のリレーで守りきり、ベスト4へ進出。しかし、準決勝のENEOS戦は打線がENEOS投手陣を捉え切れず、両チーム無得点で迎えた延長10回、二死満塁から祖父江が山岡に痛恨の押し出し四球を与えついに失点、その裏の反撃及ばず、ベスト4止まりとなった。
来年こそ、悲願の黒獅子旗獲得とダイヤモンド旗奪還へ。


パナソニック-Panasonic-(大阪府野球連盟所属)
今年度主要実績
第59回JABA静岡大会ベスト4
第63回JABA京都大会準優勝
第65回JABA九州大会優勝
第54回JABA北海道大会予選リーグ
第83回都市対抗野球大会ベスト8
第38回社会人野球日本選手権大会ベスト4


久保監督就任2年目となった今シーズン、全国の舞台で好結果を出すことは出来たが、頂点に立つことは出来ず、悔しい思いをした。
今シーズンは春先から調子がよく、静岡大会の予選リーグBブロックを3連勝で1位通過しベスト4に進むと、京都大会でも予選リーグAブロックを3連勝で1位通過し、準決勝でヤマハを下して決勝進出し、決勝で同じ大阪のNTT西日本に敗れたものの準優勝。直後の九州大会でも日通、三菱重工長崎と強豪を撃破し、やはり予選リーグBブロックを3連勝で1位通過すると、準決勝はJR東海に11-3、地元・JR九州との決勝は打撃戦となったが、劇的なサヨナラ勝ちで実に38大会ぶりの優勝を飾り、早々に選手権への出場権を獲得。絶好調のまま都市対抗二次予選に突入すると、そこでも強さが発揮され、日本新薬日本生命を何れも二桁10点で撃破。三菱重工神戸との第1代表決定戦も秋吉(中央学院大)、田中(篤。近畿大)のリレーで撃破し、近畿二次予選で代表権を獲得した前年と対照的な結果で、東京ドームに乗り込むことになった。
本大会では初戦の大津町・Honda熊本戦は先制されたものの、直後に相手のミスから逆転、堅守で4年ぶりの勝利を挙げると、続く福山市倉敷市JFE西日本との2回戦は投手戦を森(近畿大)の一発で挙げた虎の子の1点を松永(関西国際大。大阪ガスから補強。千葉ロッテ1位指名)、田中(篤)、秋吉のリレーで守り切り、ベスト8に進出するも、横浜市ENEOSとの一戦は田中(宗。立教大)のツーランで先制したものの、投手陣がENEOS打線に13安打9失点と打ち込まれ、反撃も及ばず敗戦。都市対抗でのENEOSとの対戦成績は過去1勝5敗という相性の悪さを今回も実証してしまう結果となった。
選手権では初戦の鷺宮戦を秋吉が2安打完封勝利の好スタート。2回戦では都市対抗でのリベンジを狙うJFE西を秋吉、田中(篤)のリレーで抑え、ベスト8に進むと、七十七銀行との一戦は1点リードされて迎えた終盤に打線が目覚め、4-1で勝利しベスト4に駒を進めたものの、JR東戦は2点リードして迎えた6回に秋吉が打たれ逆転を許すと、8回には一挙5点の猛攻を浴び、3度目の優勝はならなかった。
パナソニックはここ数年の経営不振から、バスケットボール部、バドミントン部をシーズン終了後(2013年3月末)に休部、今後の企業スポーツ活動を野球部、バレーボール部、ラグビー部のみとすることを発表している。今後の業績、及び野球部の実績次第では野球部にも休部の影が忍び寄ってくるのでは・・・と心配である。


NTT西日本-Nippon Telegraph and Telephone West-(大阪府野球連盟所属)
今年度主要実績
第67回JABA東京スポニチ大会予選リーグ
第41回JABA四国大会準優勝
第63回JABA京都大会優勝
第54回JABA北海道大会予選リーグ
第83回都市対抗野球大会2回戦
第38回社会人野球日本選手権大会2回戦


今シーズンは、前年コーチとしてチーム入りした佐々木誠氏(元福岡ダイエー、西武など)が監督に就任。電電近畿時代の1965年(昭和40年)以来となる都市対抗優勝を目指したが、昨年に続いて大きな悔しさを味わうことになった。
3月のスポニチ大会では予選リーグAブロックを2勝1敗で予選リーグ通過を逃したが、昨年の都市対抗覇者・JR東に勝利。四国大会は予選リーグBブロック2位ながらも、ワイルドカードでベスト4に進むと、準決勝では予選リーグで敗れた王子製紙に勝ち、決勝でENEOSにサヨナラで敗れたものの準優勝。京都大会では予選リーグを3勝0敗で1位通過すると、準決勝で日本生命、決勝でパナソニックを連破し、9大会ぶりに大会制覇を果たす。
迎えた都市対抗二次予選では準決勝で三菱重工神戸に敗れ、第2代表決定トーナメントに回ると、新日本製鐵広畑(現・新日鐵住金広畑)、大阪ガスを下し、第2代表決定戦では三菱神戸を安部が完封。準決勝の借りを返し、6年連続の出場を決めた。
しかし、迎えた本大会は初戦の仙台市・七十七戦こそ安部が4安打8奪三振1失点完投で逆転勝ちしたものの、続く東広島市・伯和ビクトリーズとの2回戦は初回二死から高本(帝塚山大)の一発などで一挙5点を挙げたものの、6-3とリードして迎えた7回、2番手でマウンドに上がっていた吉元(大阪産大)の後を受けた3番手・津田(立正大)、4番手・深水(東亜大。新日本製鐵広畑から補強)が捕まり一挙5失点で逆転を許し、反撃及ばず2回戦敗退。昨年の都市対抗準々決勝、対鹿嶋市住友金属鹿島戦で、4-1とリードして迎えた8回、それまで好投していた吉元が打ち込まれ、一挙5点を奪われ逆転負けを喫した悪夢の再現となってしまった。
雪辱を期した日本選手権は、初戦で三菱横浜と延長11回に及ぶタイ・ブレークの死闘の末、サヨナラで勝利したものの、続くトヨタとの2回戦は、1回戦で11回途中まで好投した安部が4回に捕まり、降板。打線もその後反撃できず、2回戦敗退に終わった。
安部、増田(福井工大埼玉西武1位指名)と投手陣の中心がプロ入りする来季は、吉元に次ぐ投手陣の台頭がカギ。「NTT西日本は日本一になるために存在する」と佐々木監督は言い切っているだけに、来シーズンこそ、悲願達成なるか。


日本生命-Nihon Life Insulance-(大阪府野球連盟所属)
今年度主要実績
第55回JABA岡山大会予選リーグ
第63回JABA京都大会ベスト4
第65回JABA九州大会予選リーグ
第83回都市対抗野球大会ベスト8
第38回社会人野球日本選手権大会ベスト8


昨シーズンは都市対抗で実に13年ぶりとなるベスト8入りを果たし、今シーズンは1997年(平成9年)以来となる優勝を目指したが、都市対抗、日本選手権とも惜しい結果となった。
4月の岡山大会は予選リーグCブロックで九州三菱自動車に敗れたのが響き、2勝1敗ながら予選敗退となったものの、続く京都大会では予選リーグCブロックを3連勝で通過し、ベスト4入り。都市対抗近畿二次予選では苦戦したものの、ルーキー・吉原(東京農大)が全6試合に登板し、3試合で完投する大車輪の活躍で第3代表を掴み、東京ドームへ乗り込むと、1回戦は高知市四国銀行を吉原が完封、続く北九州市JR九州との2回戦も吉原が連続完封(2試合連続完封は、1994年(平成6年)の65回大会で、大垣市西濃運輸の中ノ瀬幸泰(元阪神)が達成して以来)。2年連続でベスト8に進んだが、何れの試合も1-0と最小リードを守り抜いてのもの。昨年に続いての対戦となった東京都・NTT東戦は、打線が投手陣を援護出来ないまま、4回に先制を許すと、終盤には一挙7失点。結局、0-10で敗れ、花野監督も「これほど打ちのめされるとは」とコメントを残したが、得点力に課題を残した。
続く選手権近畿最終予選は初戦(2回戦)でいきなり日本新薬に敗れ、第3代表決定トーナメントに回ることに。しかし、そこからは甲賀健康医療専門学校、トータル阪神ニチダイを連破し、第3代表決定戦では三菱重工神戸を猛打で粉砕し、2大会ぶりの本大会出場を決めると、本大会では1回戦でJR四国、2回戦で新日鐵住金かずさを連破し、ベスト8に進んだが、都市対抗に続く2大会制覇を狙うENEOS投手陣に打線が抑え込まれ、ベスト4進出を逃した(なお、近畿最終予選の直前に、中井竜基内野手広島市で起きた小6女児監禁事件の犯人逮捕に貢献し、広島県警から表彰されたことを記しておく)。
昨年、今年の活躍で、ようやく復活が見えてきた日生。来シーズンこそは黒獅子旗を大阪へ持ち帰れるか。


大阪ガス-Osaka Gas-(大阪府野球連盟所属)
今年度主要実績
第54回JABA長野県知事旗争奪野球大会予選リーグ
第63回JABA京都大会予選リーグ
第83回都市対抗野球大会近畿二次予選第5代表決定戦
第38回社会人野球日本選手権大会近畿最終予選出場辞退


2年連続で都市対抗出場を逃し、佐々木新監督を迎えて巻き返しを期したシーズンだったのだが・・・ファン及び関係者を大きく裏切る1年となってしまった。
4月の長野大会では、予選リーグ初戦の伏木海陸運送戦で松永(関西国際大。千葉ロッテ1位指名)が完封勝利、続く三菱横浜戦も公文(高知。巨人4位指名)が完封したが、予選突破を賭けた東邦ガス戦で完封負けを喫し、予選敗退。続く京都大会も、セガサミー戦を公文が、三菱神戸戦を平川(同志社大。新人)、飯塚(履正社。新人)、猿渡(飯塚。新人)の新人リレーで完封勝利を挙げながら、ヤマハに敗れたのが響き、予選突破ならず。
あと一歩が届かないまま、都市対抗近畿二次予選に突入すると、初戦で三菱神戸に敗れ第2代表決定トーナメントに回ると、ニチダイ、日生を連破しながら、3回戦でNTT西日本に敗れると、第3代表決定トーナメント2回戦で日生にリベンジされ、さらに、第4代表決定トーナメント3回戦で日本新薬に、最後の椅子を賭けた第5代表決定戦は、第1代表決定戦から4連敗してきた三菱神戸と再戦となったが、公文の好投も実らず、逆転負け。4連敗で3年連続予選敗退となった。
そして最後の選手権近畿最終予選を目前にした8月31日、現役部員、OBを含めた大規模な賭博行為が発覚。最終予選を辞退、という格好でシーズン終了となってしまった(最終的に、過去10年で41人もの部員、OBが係わっていたことが判明)。日本野球連盟からは来年2月28日までの半年間、対外試合禁止処分が言い渡されている。また、19〜26歳の部員18人が単純賭博容疑で書類送検され、全員が容疑を認めている。
まあ、野球の神様は見ていた、ということだろう。3年間都市対抗出場を逃してきたのも、こうした所に遠因があったんだろうし。今後は大いに反省して社業と野球に励んでもらいたいものである。
なお、来シーズンは、佐々木監督に変わり、竹村副部長が新監督に就くことが発表されている。一つだけ言えるのは「次は無い」ということだ。


JR九州-Kyushu Railway-(福岡県野球連盟所属)
今年度主要実績
第67回JABA東京スポニチ大会予選リーグ
第41回JABA四国大会ベスト4
第65回JABA九州大会準優勝
第83回都市対抗野球大会2回戦
第38回社会人野球日本選手権大会ベスト8


一昨シーズンは都市対抗、選手権共に準優勝。昨シーズンはまさかの都市対抗初戦敗退に終わり、巻き返しを目指した今シーズンだったが、不満の残る1年となった。
3月のスポニチ大会では、予選リーグBブロックを日通、三菱横浜と2勝1敗で並んだが、得失点率差で及ばず、予選敗退。それでも、吉田(宮崎商。新人)や福(神戸西)といった若手が台頭すると、その後の四国大会ではベスト4入り。九州大会でも準優勝と順調に進んでいくと、都市対抗二次予選では他を寄せ付けず、第1代表を獲得。本大会では初戦の京都市日本新薬戦でドラフト候補にも名前の挙がっていた中村(亜細亜大)ら、6投手に15安打8得点を浴びせて勝利したものの、続く大阪市日本生命との対戦は4回に日生・高橋(東海大)に浴びたソロによる1失点を取り返せず、まさかの2回戦敗退で終わった。
続く選手権最終予選も、安定感ある戦いで第1代表を獲得。本大会では1回戦で三菱重工名古屋をエース・濱野(国士舘大)が1失点完投、2回戦ではHondaに3点ビハインドを許したが、6回に一挙4点を奪って逆転勝ち。このまま頂点へ突っ走るかに思われたが、準々決勝はJR東に逆転負け。悔しい結果となった。
来シーズンこそは77年ぶりの黒獅子旗獲得を目指す。悲願達成なるか。