トシ坊の注目チーム2012〜大学野球総決算編〜

展望編はこちら
東北福祉大学-Tohoku Fukushi UNIV.-(仙台六大学野球連盟所属)
今年度主要実績
平成24年仙台六大学野球春季リーグ優勝
第61回全日本大学野球選手権大会2回戦
平成24年仙台六大学野球秋季リーグ2位


昨年神宮大会ベスト4の結果を受け、再び日本一を目指した東北福祉だったが、最後に思わぬ結果が待ち受けていた。
春はいつものように圧倒的な強さを発揮。最優秀選手に輝いた加藤(4年、前橋工JFE東日本入社予定)が5試合全戦を1失点以内完投という抜群の安定感を見せれば、首位打者の永田(3年、花咲徳栄)、本塁打、打点の2冠に輝いた勝田(4年、神戸国際大付東海理化入社予定)、新人賞の上村(1年、東北)らの打棒も奮い、恒例の全勝優勝で12連覇を果たすと、選手権でも初戦の関東学院大(神奈川大学野球連盟)戦を、1点ビハインドの8回に永田のスリーランで逆転勝ちし、4年ぶりの勝利を挙げた。
しかし、秋は思わぬ結果になる。開幕4連勝で迎えた第4節、東北工大との1回戦でまさかの完封負け。その後の2回戦、3回戦を取って勝点を挙げ、仙台大からも勝点を取り、勝点4として迎えた最終節、勝点4同士の東北学院大戦に臨んだが、1回戦は伊藤(4年、聖和学園福岡ソフトバンク2位指名)から2点しか奪えず、投手陣も5失点と踏ん張れず完敗。2回戦も塚本(3年、利府)に完封負けを喫し、13シーズンぶりに王座を譲った。
打線の強さはリーグ随一だけに、加藤、荻野(4年、東北。東芝入社予定)ら投手陣の軸が抜ける来季は投手陣の出来がポイントになりそうだ。


法政大学-Hosei UNIV.-(東京六大学野球連盟所属)
今年度主要実績
平成24年東京六大学野球春季リーグ2位
平成24年東京六大学野球秋季リーグ優勝
明治天皇御生誕160年記念第43回明治神宮野球大会大学の部準優勝
3年前の大学日本一に貢献した三嶋(4年、福岡工。横浜DeNA2位指名)、多木(4年、坂出。トヨタ自動車入社予定)が最上級生となって迎えた春季リーグ戦、法政は1引分後4連勝と絶好のスタートを切った。
ところが、迎えた明治戦で1回戦を落とすと、続く2回戦は9回に4点ビハインドを追い付いて引き分けに持ち込み、3回戦も延長の末に勝利したものの、4回戦は2点ビハインドを追い付いたものの、9回に逆転を許し、勝点逸。これが響いて迎えた早稲田戦は、1回戦を落とした後の2回戦で投手陣が早稲田打線に滅多打ちを喰らい、連敗で勝点逸。優勝戦線から脱落してしまった。三嶋、石田(2年、広島工)を軸とした投手陣はまずまずだったものの、3年終了時点で84安打を放っている多木が不調で6安打に終わったのも響き、結局2位でフィニッシュとなった。
これで1987年(昭和62年)秋に30回目の優勝を飾って以来、ずっと守り続けてきた連盟最多優勝回数単独トップの座を早稲田に追い付かれ、いよいよ危うい立場になって迎えて秋季リーグ。開幕カードの東京大戦を猛打で粉砕すると、続く慶應戦は三嶋がリリーフで2試合を抑え込み、第5週の立教戦も1回戦を石田、三嶋で、2回戦は船本(3年、桐蔭学園)、三嶋のリレーで連勝し、開幕6連勝。早稲田戦は1勝2敗で落としたものの、優勝を賭けた明治戦は、1回戦を三嶋が4安打無四球2失点の好投、最終回の明治の反撃を断ち切ると、続く2回戦も三嶋がマウンドへ。1回戦以上の投球を見せれば、打線も10安打で6点。見事6シーズンぶり44回目の優勝で、再び最多優勝回数単独トップの座を奪い返した。
しかし、迎えた神宮大会では打線が不調。初戦の三重中京大(東海・北陸3連盟。東海地区大学野球連盟)戦は、三嶋が16奪三振を挙げ完封したが、打線は7安打を放ったものの僅か1点止まり。準決勝、富士大(東北3連盟。北東北大学野球連盟)戦は1-1の同点のままタイブレークに突入し、主将・建部(4年、桐光学園東京ガス入社予定)、鈴木(翔。3年、法政二)の連続適時打で2点を奪い、その裏、三嶋が1点を奪われたものの逃げ切り勝ち。決勝へコマを進めたものの、桐蔭横浜大(関東5連盟。神奈川大学野球連盟)との一戦は7安打を放ちながらも10残塁と拙攻。迎えた6回、3連投の三嶋が桐蔭横浜の二番・山中(2年、長崎商)に痛恨のソロを浴び、結局このビハインドを跳ね返せず、法政にとって31年ぶり4回目、六大学勢にとっても、2年前の早稲田、昨年の明治に続く3連覇を逃した。
金光監督は神宮大会決勝後「頂点に立つために、何が足りないのかが分かったと思う」とコメントしている。船本、来年度の主将、河合(3年、中京大中京)、正捕手・木下(3年、高知)、主砲・西浦(直。3年、天理)らこの代の活躍に日本一奪回の期待がかかる。


慶應義塾大学-Keio UNIV.-(東京六大学野球連盟所属)
昨年度主要実績
平成24年東京六大学野球春季リーグ3位
平成24年東京六大学野球秋季リーグ3位


昨年は大学選手権で準優勝しながら、一転して秋は投打に大不振に陥った慶應。しかし、巻き返しを期した今季も苦戦を余儀なくされた。
春季リーグ戦では、首位打者に輝いた阿加多(4年、慶應義塾日本生命入社予定)、3本塁打を放った山崎(4年、慶應義塾JX-ENEOS入社予定)ら、打撃陣の活躍が光ったものの、3月のキャンプで二枚看板の一人である福谷(4年、愛知・横須賀。中日1位指名)が右足内転筋を痛め、先発は5月20日の立教2回戦まで待たねばならず(6試合リリーフ登板)、エース・竹内(4年、中京大中京トヨタ自動車入社予定)、只野(4年、慶應義塾)、竹林(3年、慶應藤沢)、山形(3年、土佐)らの頑張りもあったものの、投手陣のやりくりに苦労。4カード目の立教戦で連敗し、チーム80年ぶりの春3連覇を逃し、慶早戦では意地を見せて、早稲田の完全優勝を阻んだものの、不本意な結果となった。
迎えた秋は開幕の立教戦を2連勝。江藤監督も「これまでにない自信がある」と語っていたが、続く法政戦でまさかの連敗。それでも優勝戦線に踏み止まり、東京大を1引分後の連勝で勝点を取った後の明治戦は、4回戦までもつれこんだ末に勝点奪取。優勝の可能性を残したが、翌週に法政が明治に2連勝で勝点を奪ったことで法政の優勝が決まり、優勝はならず。春好調だった阿加多、山崎、福富(4年、慶應義塾日本生命入社予定)が不調に苦しみ(チーム打率2割1分9厘)、竹内も1勝3敗、防御率4.45と苦しんだのが響いた。
それでも、来シーズンは今秋4勝を挙げ、ようやく期待に応えた白村(3年、慶應義塾)、江藤監督も期待する大砲の横尾(1年、日大三)、谷田(1年、慶應義塾)ら、期待の戦力を擁する。江藤監督就任4年目を迎え、1期生が最終学年を迎えるので、最上級生の活躍に期待したい。


明治大学-Meiji UNIV.-(東京六大学野球連盟所属)
昨年度主要実績
平成24年東京六大学野球春季リーグ4位
平成24年東京六大学野球秋季リーグ4位


エース・野村(現・広島東洋)、主将・竹田(現・富士重工業)ら、昨年秋の神宮大会の優勝メンバーの多くが抜け、苦しい戦いが予想された今シーズン。新エースとして期待された岡(大。3年、倉敷商)、山崎(2年、日大三)の投打二刀流に大きな注目が集まったが、開幕前の社会人対抗戦(対鷺宮製作所)で岡が3回4失点と捕まる大誤算。これが響いたのか、春の岡はエースナンバー「11」を背負いながらリリーフ待機となってしまった。山崎、関谷(3年、日大三)の三高コンビ、左腕の月田(2年、熊本工)らが先発を務め、結果は残したが、打線では四番・中嶋(3年、桐蔭学園)が29打数4安打、打率1割3分8厘、1打点と大ブレーキ。ルーキーながらリーグ2位となる打率4割1分7厘をマークし、ベストナインに輝いた高山(1年、日大三)や、対立教2回戦で六大学野球史上7人目のサイクル安打を記録した小室(4年、昌平。三菱自動車岡崎入社予定)、善波監督待望のスラッガー・石川(4年、北大津JX-ENEOS入社予定)らの活躍はあったものの、結局優勝にわずかな望みを残して迎えた早稲田戦で勝点を落とし、早稲田の胴上げを見せ付けられることとなった。
続く秋は開幕カードの立教戦で小室、石川の2人が怪我で戦線離脱。打線の柱を欠いたことがその後の戦いに大きく響いた。それでも立教、早稲田から1敗はしたものの勝点を奪い、第5週終了時点で法政に次いで2位と、秋連覇へ向けて邁進していたが、慶應戦で4回戦まで縺れた末に勝点を落として勢いがなくなり、優勝に僅かな望みを残して臨んだ最終の法政戦は2試合とも先制しながらの逆転負けを喫し、春、秋とも優勝チームの胴上げを見せ付けられるという悔しい1年となった。春10試合に登板し(防御率3.48)、打っても3割7分9厘、1本塁打、10打点と“紫子奮迅”(2012年シーズンのチームスローガン)した岡は秋も3割5分3厘、9打点と打ちまくり、早稲田戦からは四番も任されて打撃成績4位の活躍を見せたが、肝心の投は防御率3.95(1勝2敗)、僅か4試合のみの登板。エースとしての期待に応えたとは言い難い。
慶應2回戦では二塁・大塚(花咲徳栄)、右翼・高山、左翼・菅野(東海大相模)、捕手・坂本(履正社)、投手・上原(広陵)、三塁・宮内(習志野)と、1年生が6人スタメンに並ぶなど苦しい戦いを強いられた秋。裏を返せば、この経験は来年以降大きな力になる可能性があるということ。岡、中嶋の復調と合わせ、期待したい面だ。


立教大学-Rikkio UNIV.-(東京六大学野球連盟)
昨年度主要実績
平成24年東京六大学野球春季リーグ5位
平成24年東京六大学野球秋季リーグ5位


下級生時から主力としてチームを引っ張ってきたエース・小室(4年、日野。JX-ENEOS入社予定)や主将・松本(4年、横浜。東芝入社予定)らが残り、昨年の躍進もあって優勝候補の一角に上がっていた立教だったが、まさかの苦戦を強いられた。
3月の宮崎・西都キャンプで小室が左肩炎症を発症し、スロー調整を余儀なくされると、松本は開幕2カード(法政、早稲田)の4試合で14打数2安打と大不振。開幕4連敗から立て直して東京大、慶應大には連勝したものの、Aクラス入りを賭けた最終の明治大戦は初戦こそ取ったものの、続く2、3回戦はまさかの2試合連続二桁失点完封負け(0-12、0-14)。まさかのBクラス転落となった。
しかし、巻き返しを図った秋も不振を脱することが出来ない。慶應との開幕1回戦はまさかのサヨナラ負け。続く2回戦も逆転負けすると、明治戦は1回戦こそ小室が完封勝利を挙げたものの、2回戦、3回戦はいずれも逆転負けで、早くも優勝戦線から脱落。早稲田、法政からは勝点どころか白星も挙げられず、結局東京大との勝点0同士の直接対決を連勝し、最下位を免れるのがやっとだった。
主力が抜けた来年は、さらに苦しい戦いが予想される。遊撃のベストナインに選出された大城(1年、興南)、2回戦を任された齋藤(1年、成田)、右肘手術から復活し、リーグ初勝利を挙げた矢部(3年、立教新座)らが、巻き返しを期す。


東京大学-Tokyo UNIV.-(東京六大学野球連盟所属)
昨年度主要実績
平成24年東京六大学野球春季リーグ6位
平成24年東京六大学野球秋季リーグ6位


春秋の成績だけ見れば、いずれも勝ち星を挙げられず(秋は1分10敗)、共に最下位。2010年秋の早稲田2回戦から続く連敗は46にまで伸びた。しかし、戦いぶりは今後に大きな期待を持たせるものとなった。
特に進境著しかったのが打撃面だ。春は10試合でチーム打率1割6分4厘、13得点と、相変わらずの得点力不足を露呈したが、秋は11試合で打率2割1分、20得点まで上昇。対慶應1回戦では7回に一挙5点を奪い、34試合ぶりの引き分けに持ち込むなど、「スイングがいいので、打線がつながる」(明治・善波監督)と、谷沢健一コーチの指導の効果が浸透する結果となった。
また、秋には関(半田)、辰亥(たつい。高松)、飯田(刈谷)と1年生が台頭。来年以降の楽しみが出来た。連敗ストップ、2002年(平成14年)秋以来となる勝点奪取、1997年(平成9年)秋以来となる最下位脱出も夢でなくなってきた。


早稲田大学-Waseda UNIV.-(東京六大学野球連盟)
昨年度主要実績
平成24年東京六大学野球春季リーグ優勝
第61回全日本大学野球選手権大会優勝
平成24年東京六大学野球秋季リーグ2位


2007年3月に発覚したプロ野球西武ライオンズ(当時)の裏金問題と、それに伴う現役部員(その後退部)の金銭不正授受の影響を受け、早稲田野球部は2007年から2年間、大学側からスポーツ科学部の推薦入試枠を4人から2人に減枠されるペナルティを受けた。今年の主力、杉山(4年、東総工。中日4位指名)と地引(4年、木更津総合東京ガス入社予定)は2009年度の推薦入学者である(2008年度推薦入学者は、土生(現・広島)と松本(歩己。現・日本通運))。
それだけに斎藤(現・北海道日本ハム)、福井(現・広島)、大石(現・埼玉西武)のドラフト1位指名トリオを擁した2010年のチームや、上本(阪神)、松本(啓二朗。横浜DeNA)らを擁した2008年のチームと比べると小粒な印象となったが、今季はそんな印象を吹き飛ばす戦いぶりだった。
春季リーグ戦、昨夏の甲子園優勝投手として大いに注目を集めた吉永(日大三)、主に六番・三塁として10打点を挙げた茂木(桐蔭学園)を筆頭に、1年生が最大7人ベンチに入った一方、4年生のベンチ登録は主将・佐々木(早稲田実JR東日本入社予定)、主砲・杉山、正妻・地引ら、わずかに5人。就任2年目を迎えた岡村猛監督の打ち出した「実力主義」は、こんな形となって現れた。投手陣は4勝を挙げベストナイン最優秀防御率の二冠に輝いた吉永を筆頭に、高梨(2年、川越東)、有原(2年、広陵)ら下級生が軸となり、1年の内田(早稲田実)も5試合に登板する活躍(ちなみに、今年の早稲田野球部に4年生投手は9人登録されていたが、登板は一度もなし)。
さらに、岡村監督が就任時から掲げてきた「“打棒ワセダ”の復活」も5本塁打を放った杉山、3本塁打を放った小野田(2年、早稲田実)両スラッガーの活躍に加え、13試合で30盗塁を記録した機動力も兼ね備えた積極的な攻めが光り、見事3シーズンぶりのリーグ優勝。同時に、この優勝で優勝回数も「43回」となり、25年ぶりに法政と優勝回数が並んだ。
快進撃は5年ぶりに出場した選手権でも続く。早慶戦で佐々木主将が左足頸骨、腓骨骨折で全治3ヶ月の重傷で戦線離脱というアクシデントがあったものの、初戦(2回戦)の福井工大(北陸大学野球連盟)戦で吉永が1安打完封(7回コールド)すると、準々決勝は奈良産大(近畿学生野球連盟)に倍の10安打を打たれるも高梨以下6人のリレーで逃げ切り勝ち。準決勝は九州共立大の大瀬良に9安打を浴びせ、吉永、横山(3年、聖光学院)、有原のリレーで逃げ切ると、亜細亜大(東都大学野球連盟)との決勝も初回に大学野球界のエース・東浜(4年、沖縄尚学福岡ソフトバンク1位指名)から速攻で3点を奪うと、準決勝に続いて吉永、横山、有原のリレーと好守で亜細亜打線を5安打無失点に抑え、10年前のリベンジ(10年前の決勝は和田(現・オリオールズ)と木佐貫(現・オリックス)が投げ合い、亜細亜が勝利)を果たすとともに、5年ぶりに大学日本一に輝いた。
しかし、連覇を目指した秋は、先発に転向した有原が4勝を挙げた一方、吉永が不調に陥る。対明治2回戦では3分の2回3四球4失点でKOで、昨年のセンバツ準決勝、九州国際大付(福岡)戦以来となる541日ぶりの黒星を喫するなど、大活躍の春に比べ成績を落とした。打線も春のチーム打率2割9分4厘、13本塁打、86得点から、2割6分3厘、4本塁打、53得点にまで降下。杉山の戦後13人目となる三冠王獲得というニュースはあったものの、地引が東京大との開幕カード後の紅白戦で、クロスプレーの際に左ふくらはぎを負傷して明治戦、立教戦を欠場。茂木、小野田も成績を落としたのが響いた。チームは終盤まで優勝を争ったものの、勝率差で法政に優勝をさらわれ、優勝回数を再び引き離された。
来シーズンは投手陣は経験者がそのまま残り、攻撃陣も中村(2年、天理)、大野(3年、早稲田実)、小野田らが引っ張る形となる。再び優勝回数トップの座の奪回を目指して。


青山学院大学-Aoyama Gakuin UNIV.-(東都大学野球連盟一部所属)
昨年度主要実績
平成24年東都大学野球春季一部リーグ2位
平成24年東都大学野球秋季一部リーグ5位


昨秋あと一歩のところで優勝を逃しただけに、期するものがあった青学だが、1年振り返って、ここまで振幅の激しいシーズンを送るとは誰が予想しただろうか。
開幕カードの駒澤戦は初戦こそ落としたものの、続く2回戦は逆転で勝利し、3回戦も2回に杉本(3年、徳島商)、吉田(正。1年、敦賀気比)の2ホーマーなどで4点を奪う速攻で、完勝。東洋戦は勝点を落としたものの第5週の中央戦を連勝で勝点を奪い、首位を走る亜細亜を追走していた。
しかし、第6週の日大戦で悪夢が襲った。1回戦で中盤に先発・齋藤(3年、青森山田)が集中打を浴び、6失点KOされ、完封負け。翌日の2回戦も3回に投手陣が12安打8失点と炎上し、1-10で完敗。これが致命傷となった。最終第7週で亜細亜を下し、完全優勝を阻む意地は見せたが、エースとして期待された福島(4年、大阪桐蔭。Honda入社予定)の不振が響いた。
リベンジを期した秋だったが、まさかの苦戦を強いられる。開幕カードの東洋戦は、1敗後の2回戦は田中(2年、仙台育英)、福本(2年、大阪桐蔭)、福島のリレーで完封し、3回戦は17安打9得点を挙げて勝点を取ったが、この後に悪夢が待っていた。続く2カード目の中央戦は、1回戦は延長10回にリリーフ登板の齋藤が中央・島田(4年、常総学院明治安田生命入社予定)にサヨナラ打を浴びると、2回戦は中央の4投手の前に5安打完封負け。続く國學院戦も1回戦は國學院のエース・杉浦(3年、帯広大谷)に5安打完封負けを喫すると、続く2回戦は終盤に投手陣が打ち込まれ完敗。翌週の駒澤戦は2試合とも完敗で6連敗。首筋が寒くなってしまった。
結局、第7週で東洋が國學院から勝点を落としたことで、東洋の最下位と青学の一部残留が決まり、最終週では優勝が決まっていた亜細亜の全勝優勝を阻み、春に続いて亜細亜から勝点を奪う意地を見せたが、不本意な結果となった。
春秋ともに優勝した亜細亜から勝点を奪ったのは、青学ただ1校。この経験値は必ず来シーズンに還元する。そして2006年(平成18年)春以来の優勝を。


亜細亜大学-Asia UNIV.-(東都大学野球連盟一部所属)
今年度主要実績
平成24年東都大学野球春季一部リーグ優勝
第61回全日本大学野球選手権大会準優勝
平成24年東都大学野球秋季一部リーグ優勝
明治天皇御生誕160年記念第43回明治神宮野球大会大学の部ベスト4


今シーズンの亜細亜のスタートは決して万全と言えるものではなかった。前年秋の優勝の立役者、エース・東浜(4年、沖縄尚学福岡ソフトバンク1位指名)がリーグ戦直後の右肘故障の影響から調整が遅れ、新年最初の練習では生田勉監督からカミナリを落とされ「(東浜の)主将任命は失敗だった」とマスコミに語る状態。さらにその東浜が先発に立った駒澤との開幕戦は勝利したものの、東浜が6回で降板し、リリーフ陣が9回に打たれて延長に持ち込まれた末のもの。2回戦は九里(3年、岡山理大付)が1失点完投し、連勝で勝点を挙げたものの、今後の戦いに不安を残すことになった。
しかし、ここからは亜細亜らしさを存分に見せつけた。2週開けて迎えた日本大戦は2回戦を落としたものの、1、3回戦を東浜が好投して勝点を挙げると、そこから中央、東洋を1引分を挟んで連破。見事連覇を果たしたのだ。打線は13試合で打率2割8厘、38得点に終わった前年秋に続いて打てなかったが(12試合で打率2割2分6厘、33得点)、3本塁打を放った柴田(4年、東京学館船橋NTT東日本入社予定)、8打点を挙げた中村(篤。3年、青森山田)の主軸に加え、新人王に輝いた藤岡(1年、岡山理大付)、途中から三番を任された北村(1年、星稜)の1年生コンビがベストナインを受賞し、山下(1年、九州学院)も6盗塁をマークするなど、1年生の活躍、そして12試合27盗塁をマークした伝統の機動力と12試合5失策の堅守がチームを支えた。
選手権では初戦(2回戦)で東浜が八戸大(北東北大学野球連盟)から14三振を奪う快投で好スタート。準々決勝は昨秋の神宮大会初戦で敗れた愛知学院大(愛知大学野球連盟)との再戦となったが、東浜が4安打完封でリベンジに成功。龍谷大(関西六大学野球連盟)との準決勝は九里、飯田(4年、藤沢翔陵)、山崎(2年、帝京)のリレーで相手の強力打線を2点に抑えて9年ぶりの決勝進出。「東浜だけじゃない」ということを証明したが、早稲田大との決勝は初回に東浜がまさかの3失点。持ち前の機動力を封じ込められたのが響いて、完封負けを喫し準優勝に終わった。
悲願の日本一を目指した秋は開幕から絶好調。相変わらず打線は打てなかったが(チーム打率1割8分3厘は6校中5位)、東浜、九里の二枚看板の安定感は抜群で、開幕から8連勝。第7週1日目で、プレーオフの可能性を残していた駒澤が中央に敗れたことで、3連覇が決まった(最終週で青学に連敗し、完全優勝は逃す)。
しかし、神宮大会では悲願の日本一を目指したが、初戦(準々決勝)の福岡大(九州3連盟・九州六大学野球連盟)戦は東浜が14奪三振を挙げ、完封勝ちしたものの、準決勝の桐蔭横浜大戦は打線がチャンスを作りながらも走塁ミスなどで潰し、両校無得点で迎えた7回、二死一、二塁から好投の九里が桐蔭横浜の五番・喜納(2年、成立学園)に2点適時打を打たれ、これが決勝点となり、ついに東浜は一度も大学日本一になることが出来ないまま卒業ということになった。
それにしても、東浜が4年間で築いた実績は凄まじい。4年8季で通算35勝(19敗)、420奪三振と22完封は連盟新記録、何より62試合登板で41完投。大学球界でも投手分業制が採られるようになってきたが、こうした中でのこの数字は大いに評価出来る。中央・澤村(巨人)、東洋・藤岡(千葉ロッテ)との投げ合いも東浜をここまでの投手に成長させた大きな要因だ。
来年は東浜と二枚看板を組んできた九里、そして昨年から登板機会を与えられてきた山崎が投手陣の柱になると思われるので、投手陣には不安は見当たらない。しかし、1年を通じて露呈した貧打を克服しない限り、日本一は厳しい。主砲・中村篤を筆頭に、打線の活躍がカギを握ることは間違いなさそうだ。


中央大学-Chuo UNIV.-(東都大学野球連盟一部所属)
昨年度主要実績
平成24年東都大学野球春季一部リーグ3位
平成24年東都大学野球秋季一部リーグ2位


OBで元中日の秋田秀幸新監督が就任した今シーズン、中央の滑り出しは上々といえるものだった。東洋大との開幕戦でエース・島袋(2年、興南)が延長15回21奪三振をマークする快投でサヨナラ勝ちすると、2回戦は完封負けしたものの3回戦を島袋が7回4安打1失点11奪三振の好投で取り勝点奪取。続く日大戦も連勝で勝点を取り、2004年秋以来の優勝への視界は良好に見えた。
しかし、好事魔多し。首位攻防戦となった亜細亜戦を前に島袋が左肘痛を発症して戦線離脱。これが大きく圧し掛かった。1回戦は鍵谷(4年、北海。北海道日本ハム3位指名)が好投するも打線が東浜に抑え込まれて0-1で敗戦。2回戦は引き分けになると、3回戦は日程の都合上第6週以降に。この間に青学戦が行われたが、1回戦は乱打戦の末に敗戦。2回戦は先制するも逆転負けを喫し、迎えた亜細亜3回戦はまたしても打線が東浜の前に抑え込まれ、前週に東洋から勝点を挙げ、優勝に王手をかけていた亜細亜の胴上げを許すこととなった。
迎えた秋も島袋の回復具合が思わしくなく、いきなり開幕カードの國學院戦を2連敗スタート。先行き不安の空気が流れたが、第3週の青学戦で島袋がリリーフで復帰登板。味方のサヨナラ勝利を呼び込み、2回戦は4投手の完封リレー。第4週の東洋戦も1回戦は鍵谷、島袋のリレーで、2回戦は3点を先制されるも、2-3で迎えた8回に3点を入れて逆転勝ち。優勝戦線に残ったが、第6週の亜細亜1回戦、鍵谷と東浜が7回まで1安打投球という投手戦を展開したが、1点リードで迎えた9回に亜細亜・原田(3年、福岡一)のソロで追いつかれると、続く一死二塁のピンチで投入された島袋が連続適時打を浴び、まさかの逆転負け。続く2回戦は秋季リーグ初先発の島袋が好投するもソロ2発に泣き、打線も九里に4安打完封を許し、連敗で優勝が消滅。それでもAクラス入りの可能性を残した駒澤戦を連勝で制し、2位に入った。
ただ、以前から言われている貧打は今年も解消されず。春季リーグで3割2分7厘、10打点をマークした四番・二十八(つちや。3年、岩国)は秋に1割6分2厘、2打点にまで成績を落とし、同じく3割1分3厘をマークした島田(4年、常総学院明治安田生命入社予定)も1割9分4厘と振るわなかった。島袋のここまでの成績が期待通りでないのもここに原因がある。得点力不足を解消しない限り、戦国東都を制するのは厳しい。オフにどれだけバットを振れるかがカギになりそうだ。


駒澤大学-Komazawa UNIV.-(東都大学野球連盟一部所属)
今年度主要実績
平成24年東都大学野球春季一部リーグ4位
平成24年東都大学野球秋季一部リーグ3位


昨年末の小椋正博前監督の不祥事による引責辞任から、西村亮新監督が誕生したのが2月1日(JR東日本から3年、駒澤大人事部付への出向)。その時点で春季リーグ戦開幕まであと2ヶ月と、今年の駒澤はドタバタの中からのスタートとなった。こうした影響はリーグ戦に入っても続き、開幕カードの亜細亜戦は連敗、続く青学戦は先勝しながら続く2試合を連敗で落とし、早々に優勝争いから後退。入れ替え戦の恐怖が迫る中、西村監督は空き週となった第3週に「すべてを見直した」結果、東洋戦から復調。最終的に4位となったものの、一時は2位の可能性を残し、三番・中谷(4年、八頭。JR北海道入社予定)、四番・白崎(4年、埼玉栄。横浜DeNA1位指名)、五番・江越(2年、長崎・海星)のクリーンアップがベストナインを受賞。白崎は首位打者に輝くなど、今後に期待を抱かせる戦いを見せた。
そして迎えた秋、駒澤は一気に躍進する。開幕カードの國學院戦を2試合とも16安打で快勝すると、亜細亜戦は連敗したものの、続く東洋戦、青学戦を4連勝。この時点で最終の中央戦と、亜細亜・青学戦の結果次第ではプレーオフという状況に持ち込まれたが、中央戦の初戦に延長戦の末敗れ、この瞬間、2001年(平成13年)秋以来の優勝は夢と消えた。
それでも、1年を通じて大きな経験となった。チーム打率は春秋ともに1位(春:2割6分7厘、秋:2割8分4厘)。加えて、昨年から大きな課題とされた守備も、春の11試合18失策から秋は10試合8失策にまで改善。秋のベストナインに輝いた福山(2年、東海大相模)、下川(2年、筑陽学園)が来年残るのも大きく、来シーズンこそ復活優勝を目指す。


日本大学-Nihon UNIV.-(東都大学野球連盟二部所属)
昨年度主要実績
平成24年東都大学野球春季一部リーグ6位
平成24年東都大学野球春季一部・二部入れ替え戦敗退により二部降格
平成24年東都大学野球秋季二部リーグ2位


一部復帰を果たした昨秋、崖っぷちから底力を発揮して一部残留を決めた日大だったが、今年は悔しい1年となった。
開幕カードの中央戦を連敗で落とすと、亜細亜戦は2回戦で1勝を挙げたものの勝点逸。青学戦は打線が爆発して連勝で勝点を挙げたものの、駒澤戦は2試合とも先制しながら逆転負け。これで昨秋に続いて崖っぷちに立たされると、勝点を落とした方が入れ替え戦行きとなる最終の東洋戦は1回戦を先勝したものの、続く2、3回戦は打線が投手陣を援護出来ず、入れ替え戦へ。奇しくも1年前と逆の立場で迎える事となった國學院との一戦は、1回戦こそ山井(4年、宇都宮南新日鐵住金鹿島入社予定)の好投と主砲・村田(3年、PL学園)の一発で勝ち残留に王手をかけたものの、2回戦は湊(4年、日大高。日立製作所入社予定)が好投したものの、終盤國學院の長打攻勢に遭ってタイに持ち込まれ、3回戦は初回に村田のツーランで先制しながらも、その裏に4失点。同点としたものの、投手陣が踏ん張り切れず、僅か1年で二部への降格が決まった。
神宮第二球場での戦いとなった秋は立正、拓殖から勝点を落とす不穏なスタート。だが、第4週で東農大から連勝で勝点を奪うと、第6週の専修戦も2勝1敗で勝点奪取。この時点で国士舘を除く5校(日大、専修、拓殖、立正、東農)に優勝の可能性がある、という例年にない各校の星の潰し合いとなった混戦の中から巻き返し、結果次第で専修とのプレーオフ、という状況で迎えた最終の国士舘戦(第7週終了時点で6勝5敗勝点2)も連勝で勝点を奪い、ついに首位専修と並んだ。しかし、その専修とのプレーオフは、最後は専修のエース・春山(4年、桐蔭学園)に抑え込まれ、1季での一部復帰はならなかった。
春は12試合中6試合が2点差以内で、1勝5敗。秋も13試合中9試合が2点差以内で5勝4敗だったものの、敗れた専修とのプレーオフは2点差と、接戦に弱さを見せた今季。来季は最上級生となる村田や司令塔の柴原(3年、履正社)がどれだけ引っ張れるか。


東洋大学-Toyo UNIV.-(東都大学野球連盟一部所属)
昨年度主要実績
平成24年東都大学野球春季一部リーグ5位
平成24年東都大学野球秋季一部リーグ6位
平成24年東都大学野球秋季一部・二部入れ替え戦、敗退により二部降格


大学選手権連覇に貢献したエース・藤岡、主将・鈴木(共に現千葉ロッテ)が抜け、苦しい戦いが予想された今季、高橋監督は看板の打ち勝つ野球を掲げて戦いに挑んだが、結果は散々なものだった。
春のオープン戦で打線が不振に陥って10連敗を喫すると、6試合目には主将・緒方(4年、PL学園阪神6位指名)が右膝を痛めるアクシデント。さらに、中央とのリーグ開幕戦で相手エース・島袋から21三振を喫すると「三振病」(高橋監督)に陥ってしまった打線は、緒方が一時離脱したこともあり、打率1割6分5厘と低迷。するとこれが投手陣にも伝播し、新エースと期待された藤田(4年、浜田。トヨタ自動車入社予定)は2勝2敗ながらも防御率4.19と苦しみ、柱のもう一人と期待された佐藤(翔。4年、東洋大姫路=東芝入社予定)も、僅か1勝に終わる。高橋監督はこれまで登板機会に恵まれなかった土肥(4年、埼玉栄。Honda入社予定)、能間(3年、桐蔭学園)、さらには原(東洋大姫路)や増渕(ヤクルト・増渕竜義の弟。鷲宮)といった新入生も起用して局面打開を図ったが、結局5勝8敗勝点2の5位で終了。それも“勝点を落とせば入れ替え戦”という最後の日大戦で勝点を挙げて辛うじて残留を決めたのだった。
しかし、巻き返しを期した秋もどん底状態は続く。開幕の亜細亜戦を何れも1点差で連敗すると、続く青学戦は初戦こそ勝ったものの続く2、3回戦を連敗で落とし、早々に優勝戦線から脱落。その後も黒星の山を築き続けたチームは、入れ替え戦回避に一縷の望みを賭けた國學院大戦も1勝1敗で迎えた3回戦を落とし、2勝10敗勝点0で、2004年(平成16年)秋以来となる最下位に転落。専修大との入れ替え戦は2試合とも1点差の逆転負けを喫し、1998年(平成10年)秋以来となる二部降格が決定。6年間で7度のリーグ優勝、5度の大学日本一(選手権3回、神宮2回)に輝いた常勝軍団の姿はどこにもなかった。
わずか1年で天国から地獄へと突き落とされた東洋大。この悔しさを来春どれだけ第二球場でぶつけられるか、既に来年に向けた戦いは始まっている。


國學院大学-Kokugakuin UNIV.-(東都大学野球連盟一部所属)
昨年度主要実績
平成24年東都大学野球春季二部リーグ優勝
平成24年東都大学野球春季一部・二部入れ替え戦勝利により一部昇格
平成24年東都大学野球秋季一部リーグ4位


2010年(平成22年)秋に悲願のリーグ初優勝を果たしながら、翌2011年(平成23年)春には入れ替え戦で日本大に敗れて二部へ降格となった國學院。しかし、立ち直りは速かった。
開幕の専修戦を杉浦(3年、帯広大谷)の好投で、2勝1敗で取ると、続く立正戦も連勝。1週空いた東濃戦は、1回戦を杉浦、2回戦を宇野(4年、華陵日立製作所入社予定)が連続完封し、順調に勝点を伸ばしていく。
かくて第6週の国士舘戦は逆転優勝を狙う国士舘の頑張りで、1回戦は引き分け、2回戦は坂寄(4年、鉾田一。JR東日本入社予定)に4安打1点に抑え込まれたが、乱打戦となった3回戦を取って1勝1敗1分けのタイに戻すと、宇野の好投と主砲・上村(4年、中京。JR東海入社予定)の一発などで完封勝利。い見事二部優勝を飾った。
そして、1年前のリベンジマッチとなった入れ替え戦。初戦こそ、宇野が前半に打たれ、4回途中4失点KO、打線も9安打を放ちながら0点に抑え込まれ、一部復帰に暗雲立ち込めたが、続く2回戦は杉浦が粘りの投球を見せ、1失点完投。打線も2-1とリードして迎えた終盤にダメ押し点を入れ、1勝1敗のタイに戻すと、3回戦は、再び日大・村田にツーランを打たれ先制されるも、その裏に一挙4点を奪い逆転。中盤に追い付かれたものの、7回に藤本(3年、都城商)、石川(3年、桐蔭学園)が連続弾を放つなどして、3点を入れて再逆転。8回に2点返されて1点差に迫られ、なおも二死満塁のピントを迎えるも、7回から登板の杉浦が日大の主将・山口(4年、龍谷大平安ニチダイ入社予定)を空振り三振に取ってピンチ脱出。9回も日大の反撃を抑え、見事1年前のリベンジに成功。2勝1敗で一部復帰を果たした。
3シーズンぶりの一部は、優勝を狙う中央にいきなり2連勝。チームスローガンである「昇格即日本一」へ幸先のいいスタートを切ったが、続く駒澤戦は2試合とも投手陣が打ち込まれ連敗。第4週の亜細亜戦は1回戦で杉浦が東浜と互角の投手戦を演じるも、0-0で迎えた9回に中村(篤)に2点適時打を浴び、敗戦。2回戦も9回終わって0-0の投手戦となったが、延長10回一死から宇野が亜細亜・原田にサヨナラ弾を打たれ、連敗。優勝の可能性が遠のいた。それでも、続く青学戦は1回戦を杉浦が完封。2回戦は終盤に打線が爆発し、圧勝。入れ替え戦回避を決め、最終カードの東洋戦も2勝1敗で勝点を取り、存在感を見せた。
来シーズンは、「嶋(東北楽天)を超える」と評判の石川が新主将となり、2度目の優勝、そして悲願の日本一を目指す。


専修大学-Senshu UNIV.-(東都大学野球連盟二部所属)
昨年度主要実績
平成24年東都大学野球春季二部リーグ3位
平成24年東都大学野球秋季二部リーグ優勝
平成24年東都大学野球秋季一部・二部入れ替え戦、勝利により一部昇格
リーグ最多優勝(31回)を誇る名門も、2007年(平成19年)春に二部降格後、二部でもBクラスに低迷するなど、ここ数年は苦戦が続いた。しかし、今季は復活への兆しが見えた。
春は打線がチーム打率1割9分と大不振に陥る中(規定打席到達者で最高打率は矢幡(4年、相洋。ヤマハ入社予定)の2割3分5厘)、鈴木(4年、竜ヶ崎一。JR西日本入社予定)、春山(4年、桐蔭学園)ら投手陣が奮闘。終わってみれば久々のAクラス入りと健闘した。
迎えた秋、開幕戦の東農大戦は、1回戦で両校合わせて31安打25得点5本塁打が飛び交う大乱戦を制すると、2回戦は春山が8安打1失点完投。勝点を奪う好スタートを切ったが、続く国士舘戦は1回戦を市原(3年、松商学園)、中園(4年、筑陽学園日立製作所入社予定)、矢幡の3本塁打などで23安打16点を浴びせ大勝したものの、2回戦、3回戦はいずれも接戦を落とし連敗。勝点を落としてしまう。
続く立正戦は2試合とも接戦を制しV戦線に残ったが、日大戦は1回戦で投手陣が打たれ敗戦。2回戦は相手のミスから逆転勝ちしたものの、3回戦は7安打を放ちながらも、日大の二枚看板、山井、湊のリレーの前に完封負け。この時点で立正が6勝5敗勝点3で首位を走っており、第7週の最終カード、東農戦で勝点を取れば自力優勝という優位な状況に立っていたが、東農にまさかの連敗で優勝争いから脱落。一方、第7週1日目の1試合目で拓殖を5-1で下していた専修は、立正が東濃に勝点を落としたことで、拓殖2回戦に勝てば優勝ということになったが、その2回戦は拓殖・石橋(3年、明徳義塾)に6安打完封負け。翌日の3回戦は仁藤(4年、常葉橘BCリーグ信濃入団予定)のツーランなどで5点を挙げると、投げては春山が1失点完投勝ち。これで専修は8勝5敗勝点3となり、6勝5敗勝点2で追い掛ける日大の結果次第、ということになったが、翌週日大が国士舘に連勝し、優勝争いは日大対専修のプレーオフに持ち込まれた。
その日大とのプレーオフは序盤に挙げた2点のリードを春山が138球の熱投で6安打完封。7シーズンぶりに二部を制して東洋との入れ替え戦に臨むと、1回戦は1点ビハインドで迎えた2回に九番・荒木(2年、横浜)がスリーランを放ち逆転。3回、5回にも追加点を挙げると、終盤1点差まで詰め寄られたものの、春山、大野(1年、星稜)のリレーで逃げ切り。翌日の2回戦も先制されて終盤を迎えたが、8回に一死一、三塁から市原の犠飛、仁藤の中堅前安打で逆転すると、山田(3年、県岐阜商)、池田(2年、新潟明訓)、大野(1年、星稜)のリレーで東洋の反撃を断ち、2007年春以来となる一部復帰。松本(巨人)、長谷川(福岡ソフトバンク)を擁して挑んだ2004年(平成16年)秋のリベンジを果たした。鈴木が右肘炎症で立正戦を最後に離脱。主力打者の一人である大久保(4年、東亜学園セガサミー入社予定。大久保博元の息子)は右手有鉤骨を骨折し、入れ替え戦まで出場出来ずと、苦しい中での一部復帰だった。
入れ替え戦終了後、胴上げにお呼びがかかった高橋監督は「東洋さんに失礼。そんな立場ではない」と固辞した。来年は一部で、1989年(平成元年)春以来となる32回目の優勝を目指す。


拓殖大学-Takushoku UNIV.-(東都大学野球連盟二部所属)
昨年度主要実績
平成24年東都大学野球春季二部リーグ4位
平成24年東都大学野球秋季二部リーグ5位


昨秋悲願の一部昇格へあと一歩のところまで迫った拓殖だが、今季は一転苦戦を強いられた。
春開幕の専修戦、1戦目は石橋(3年、明徳義塾)が3安打完封で勝利したが、2回戦は専修の先発・鈴木から2安打しか打てず、9回に相手のミスから2点を入れたのみで敗戦。3回戦は同点に追い付いた直後の8回に逆転を許して勝点を落とすと、続く国士舘戦は連敗で、早くも優勝戦線から後退してしまった。最終戦で優勝した國學院から勝点を奪う意地を見せたものの、終わってみれば4位。専修、立正戦は先勝しながらもその後連敗して勝点を落とすなど、2回戦の勝率は1勝4敗。池田(4年、佐久長聖日本通運入社予定)が4勝4敗ながらも防御率はリーグ3位(2.15)、リーグ最多の47奪三振を奪ったが、石橋が不振に陥って5試合登板に終わったのが響いた。
しかし、秋も苦戦を強いられる。開幕の東農戦は池田、石橋の完封リレーで勝利したが、2回戦は先発・佃(2年、広島商)が7回に打たれ敗戦、3回戦は1点リードの9回に池田が一死一、三塁のピンチで暴投を犯し同点とされ、さらに相手の五番中野(4年、西城陽)にサヨナラ打を浴びるというスタート。続く日大戦は1回戦、4点ビハインドを猛攻で追いつき、10回に安田(4年、明徳義塾JR西日本入社予定)のサヨナラ打で勝ち、2回戦は敗れたものの、3回戦は池田が148球の熱投で逃げ切り勝ち。勝点を取ったが、立正戦は先勝を許した後の2回戦を石橋の好投で取ったものの、1、3回戦は打線が立正・沼田(2年、天理)に抑え込まれ(3回戦は8回二死で降板するまで無安打)勝点逸。その後国士舘戦を取り、優勝戦線に残ったが、最終の専修1回戦に敗れ、東農が立正に連勝したことで優勝の可能性は消滅。2回戦は石橋が完封したものの、3回戦は先制しながらも終盤に逆転を許し、5位という結果に終わった。秋は5カード全てが3回戦に縺れ込み、2回戦の勝率は2勝3敗。課題を克服したとは言い難い。
来シーズンこそ、悲願の一部昇格を果たすことは出来るか。秋は防御率1位(0.70)と復調した石橋、中軸の高橋(3年、拓大紅陵)らがどれだけやれるかがカギか。


創価大学-Soka UNIV.-(東京新大学野球連盟一部所属)
昨年度主要実績
平成24年度東京新大学野球春季一部リーグ優勝
第61回全日本大学野球選手権大会ベスト8
平成24年度東京新大学野球春季一部リーグ優勝
横浜市長杯争奪第8回関東地区大学野球選手権大会ベスト8


エース・小川(4年、成章。東京ヤクルト2位指名)を軸に、今年こそ悲願の日本一を狙った創価大だったが、頂点はあまりに遠かった。
春は開幕カードの共栄大戦を引分後に連勝で幸先のいいスタートを切ると、杏林大には敗れたものの、白星街道を驀進。終わってみれば小川が7勝、防御率0.79の快投、打線も荒屋(3年、北陸大谷)が3割6分8厘2本塁打12打点の活躍で、見事2連覇を果たした。
しかし、選手権は初戦(2回戦)の道都大(札幌学生野球連盟)戦、道都・佐藤(4年、北見柏陽。オリックス2位指名)に永井(4年、創価新日鐵住金広畑入社予定)、高山(3年、横浜)が一発を浴びせ、小川が3安打11奪三振完封で勝利したものの、準々決勝は前年の神宮大会準々決勝の再戦となった九州共立大(福岡六大学野球連盟)戦、打線が九州共立のエース・大瀬良(3年、長崎日大)から3安打しか打てず、連投の小川も4安打に抑えながら2点を奪われ(1点は味方の失策によるもの)、リベンジを許した。
迎えた秋も開幕の共栄大1回戦から東京学芸大1回戦まで3試合連続完封の好スタート。6勝、防御率0.31の小川が最高殊勲選手、最優秀投手、最多勝と、春に続いて三冠に輝き、1年の小松(創価)も4勝と台頭。打線も春に続いて好調を維持し、流通経済大に敗れたのみで、10勝1敗勝点5の完全優勝を果たしたものの、神宮大会出場を賭けた関東選手権の初戦(2回戦)で東海・渡辺(圭。3年、東海大甲府)に完封負けを喫し、全国への道を閉ざされた。
来年は小川が抜け、投手陣にどういった影響を与えるか。4年間で防御率0.60、36勝を挙げた右腕の穴はとてつもなく大きいが・・・


東京国際大学-Tokyo International University-(東京新大学野球連盟一部所属)
昨年度主要実績
平成24年度東京新大学野球春季一部リーグ2位
平成24年度東京新大学野球秋季一部リーグ2位
横浜市長杯争奪第8回関東地区大学野球選手権大会ベスト8


昨年の選手権で初出場ベスト4入りを果たし、注目を集めた東京国際だったが、今シーズンは思わしい結果を残すことは出来なかった。
開幕の東京学芸大との1回戦で、尾田(4年、広島工。JX-ENEOS入社予定)ら投手陣が打ち込まれ7失点を喫すると、その後の2回戦、3回戦は連勝して勝点を取り、第4週を終了した時点で6勝2敗勝点3と、創価大を追いかけていたが、杏林大との1回戦を中盤に投手陣が打たれ、乱戦の末に8-9で敗戦。2回戦も真島(3年、浦和学院)が初回に4点を取られるなど、7失点を喫し、反撃できずに勝点を落とすと、同週に組まれていた創価大対流通経済大戦で創価大が勝点を取ったため、春2連覇を逃した。最終週の創価大戦も2連敗で勝点を落とし、創価大、杏林大と上位2校から勝点を落としたことが響いた。
迎えた秋は春に続いての東京学芸大との対戦となったが、2連勝スタート。その後も順調に勝点を積み上げていき、最終週は創価大との勝点4の直接対決となったが、1回戦は勝利目前に迫った9回に氏家(2年、古川学園)が崩れ、まさかのサヨナラ負け。第2戦は小松、小川のリレーに抑え込まれ、創価大にあと一歩の所でかわされた。
神宮大会初出場を賭けた関東選手権は、初戦の国際武道大(千葉県大学野球連盟)戦、8回表まで3-2とリードしていたが、8回に投手陣が打たれ、逆転負けを喫し、神宮大会への出場を逃した。
来年は小田、司令塔・沖野(4年、広島工。日本新薬入社予定)、今井(4年、鎮西。JR西日本入社予定)ら、主力が抜ける。この穴をどう埋めていくか。


日本体育大学-Nippon Sport Science UNIV.-(首都大学野球連盟一部所属)
昨年度主要実績
平成24年首都大学野球春季一部リーグ6位
平成24年首都大学野球春季一部・二部入れ替え戦勝利により一部残留
平成24年首都大学野球秋季一部リーグ4位


昨春のリーグ優勝に大車輪の活躍で貢献したエース・辻(中日)が抜け、厳しい戦いが予想された今シーズンだったが、予想以上の苦戦となった。
春は昨秋3勝をマークした真家(4年、水戸葵陵。YBCフェニーズ入団予定)が左肩違和感で出遅れると、主力野手の一人、大石(2年、横浜)も左手首疲労骨折で戦線離脱。開幕カードの明星大戦を1勝2敗で落とすと、帝京大戦は投打が噛み合って連勝で勝点を挙げたものの、そこからチームは泥沼に嵌る。その後の3カード、東海大戦、筑波大戦、大東文化大戦を全て2連敗。3勝8敗勝点1でまさかの1970年(昭和45年)春以来となる最下位に転落してしまったのだ。富岡主将(4年、鳥栖商。三菱重工長崎入社予定)も「勝てる気がしなかった」と語ったほど、チームはどん底だったが、入れ替え戦を前にした古城監督の「『弱いから最下位になった』と認めよう」などの言葉がチームを変えた。結果、初の一部昇格を狙う桜美林大を2連勝で撃破し、二部降格の危機を免れたのであった。
迎えた秋も、開幕戦の帝京大戦を連敗で落とす不穏なスタート。大東大戦は2勝1敗で勝点を取ったものの、優勝争いに残るうえで大事な筑波大戦を先勝しながらも、2回戦、3回戦を何れも連敗で落としてしまう。これが大きく響いた。結局2季連続の最下位こそ免れたが、投打ともに課題を残した。
今秋のベストナインに輝いた平野(3年、鳥栖)、小柳(3年、春日部共栄)、投手成績6位の森(2年、桐光学園)ら、どこまで東海に迫れるか。


東海大学-Tokai UNIV.-(首都大学野球連盟一部所属)
昨年度主要実績
平成24年首都大学野球春季一部リーグ優勝
第61回全日本大学野球選手権大会ベスト8
平成24年首都大学野球秋季一部リーグ優勝
横浜市長杯争奪第8回関東地区大学野球選手権大会ベスト4


昨年は久しぶりに全国大会に出場出来なかった東海。その分の活躍が大いに期待された1年となったが、結果は不本意と言えるものだろう。
大エース・菅野(巨人1位指名)が抜けた穴をどう埋めるかがカギと見られていたが、そんな中で春に猿川(3年、花巻東)と渡辺(圭。3年、東海大甲府)の2人が台頭。特に猿川は5戦5勝とエースの働きを十分に果たした。また、坂口(4年、智弁和歌山。巨人5位指名)、伏見(4年、東海大四オリックス3位指名)が軸となる打線にも、石川(4年、東海大望洋東芝入社予定)、小笠原(3年、東海大仰星)、加納(3年、今治西)といった新戦力が台頭(石川は首位打者獲得)。終わってみればいつも通り(?)の全勝優勝で、2連覇を飾った。
しかし、2年ぶり出場の選手権は初戦(2回戦)の東日本国際大(南東北大学野球連盟)戦は、猿川の好投と、小笠原の一発などで勝利したものの、龍谷大(関西六大学野球連盟)との準々決勝は、先発・六埜(3年、光星学院)が4回途中3失点の誤算。打線も5回二死満塁の場面で伏見が空振り三振に倒れるなど振るわず、結局11年ぶりの日本一はならなかった。
秋は開幕の筑波大戦で1回戦を大勝しながら続く2、3回戦はいずれも1点差で敗れ、3連覇に暗雲立ち込めるスタート。しかし、そこからは持ち前の戦力が機能。2カード目の大東大戦は2試合30得点と打線が爆発。帝京大との2試合はいずれも接戦をものにし(4-2、2-1)すると、日体大にも競り勝って勝ち点3とすると、優勝を賭けた明星大戦では1回戦、6-2で迎えた8回に連盟の1イニング最多安打記録と連続打者安打記録を更新する猛攻で粉砕。2回戦は猿川が2回途中2失点でKOされるも、後を受けた六埜が好投。打線も7回に一死二、三塁から吉川(4年、拓大紅陵JFE東日本入社予定)の犠飛と伏見の適時打で追いつき、9回、吉川のサヨナラ打で2連敗からの8連勝で見事3連覇を達成した。
しかし、進撃もここまで。関東選手権は初戦こそ渡辺が創価大の小川に投げ勝ったものの、昨年敗れた桐蔭横浜大との準決勝(代表決定戦)は、前半からリードを許す苦しい展開。終盤に1点差まで迫ったものの及ばず、昨年のリベンジを果たすことは出来ず、神宮大会の出場権を逃した。
投手陣に不安はないだけに、伏見、坂口の穴を小笠原らがどれだけ埋められるか。日本一奪回は攻撃陣の奮起次第と言える。


愛知学院大学-Aichi Gakuin UNIV.-(愛知大学野球連盟一部所属)
昨年度主要実績
平成24年愛知大学野球春季一部リーグ優勝
第61回全日本大学野球選手権大会ベスト8
平成24年愛知大学野球秋季一部リーグ優勝
第8回東海・北陸・愛知三連盟王座決定戦準優勝


昨秋神宮大会準優勝という結果に終わり、悲願の大学日本一を狙った今シーズンだったが、頂点は遠かった。
春はエース・永岡(4年、宇部鴻城新日鐵住金広畑入社予定)が不振に陥ったものの、それを萩原(3年、常葉菊川)が埋め、5勝と防御率0.81(リーグ1位)の活躍。新人賞受賞の原崎(1年、静岡)も規定投球回に届かなかったものの、2勝を挙げ、今後に期待を抱かせた。開幕戦で名城大を2連勝で下すと、その後の4カード(中部大、愛知大、愛知工大、名古屋商大)はいずれも1敗ずつしたものの全て勝点奪取。見事完全優勝を果たした。
しかし、選手権は1回戦は上武大(関甲新学生野球連盟)との接戦を萩原の好投と、石橋(3年、佐賀商)の適時打でものにし、2回戦は東北福祉大と1点を争う展開を、相手の暴投で決勝点を奪い、9回無死満塁のピンチも萩原がしのいで2年連続8強入りしたものの、亜細亜大との準々決勝は、中盤まで両校無得点の投手戦を長岡と東浜が展開したものの、両校無得点の7回に長岡が亜細亜の四番・中村(篤)に一発を浴び、打線も東浜の前に4安打完封負け。昨年の神宮大会のリベンジを果たされた。
連覇を目指した秋は開幕カードの愛知産大戦でいきなり連敗スタートという、予想外の立ち上がり。だが、ここからの立ち直りはさすがで、愛知大を1回戦を萩原、2回戦は辻、波多野(3年、宇部鴻城)のリレーでいずれも1-0の完封勝ち。名商大戦も打線の活躍でモノにすると、中部大、名城大との2カードも接戦を制し、見事6連覇を達成。
しかし、神宮での雪辱を目指した三連盟王座決定戦は、初戦の福井工大戦は萩原が完封勝ちしたものの、三重中京大(東海地区大学野球連盟)との決勝は7回雨天コールド引き分け(0-0)。再試合も前日に続いて登板の三重中京のエース・則本(4年、八幡商東北楽天2位指名)を捉え切れず、1-1の同点で迎えた9回に勝ち越し打を許すと、反撃及ばず。今年度限りで閉校する三重中京の執念の前に屈する形となった。
来年は投手陣は萩原、波多野中心に残るが、打線は大迫(4年、樟南。鹿児島ドリームウェーブ入団予定)、長田(4年、柳ヶ浦。NTT西日本入社予定)、田中(4年、享栄。三菱重工広島入社予定)、濱内(4年、西日本短大付)ら主力が抜ける。連覇継続へのカギは打線次第ということになる。


同志社大学-Doshisha UNIV.-(関西学生野球連盟所属)
昨年度主要実績
平成24年関西学生野球春季リーグ5位
平成24年関西学生野球秋季リーグ5位


連覇の立役者となった平川(大阪ガス)、小林(日本生命)が抜け、苦戦が予想された同志社だったが、思わぬ落とし穴に嵌った。
春は、開幕の関西学院大、京都大からいずれも連勝で勝点を挙げ、5連覇へ好スタートを切ったかに思われた。
ところが3カード目の関西大戦、1回戦を逆転で落とすと、0-0の引き分けに終わった2回戦を挟んだ3回戦は、関大の三番・中園(4年、奈良大付日本新薬入社予定)、五番・藤嶋(2年、神港学園)に一発を浴び、勝点逸。これでリズムが狂うと、続く近畿大戦は1回戦は大家(2年、大阪桐蔭。前横浜DeNA大家友和の親戚)の好投も及ばず、惜敗。2回戦は近大打線に小刻みに得点を重ねられ、打線も宝利(2年、近大福山)の前に5安打に抑え込まれ、0-6の完封負け。これで5連覇の可能性が消えると、伝統の同立戦は1回戦を立命のエース・工藤(3年、立命館慶祥)の前に6安打完封負け、2回戦も余語(3年、愛工大名電)から7安打を放ちながら10三振2点に抑え込まれ、立命の胴上げを見せつけられた。
巻き返しを期して迎えた秋もピリッとしない戦いが続く。開幕の近大戦は相手投手陣を攻略しきれず、連敗スタート。京大からは勝点こそ挙げたものの、2回戦は延長15回引き分けに終わる苦戦。その後も調子を挙げる事が出来ないまま、4カード目の関学戦は1回戦は蒔野(4年、名古屋。東邦ガス入社予定)に4安打完封を喫し、2回戦も両校無得点の6回、相手の猛攻を浴び、一挙6失点。そのまま敗れ、関学の93年春以来13度目(旧関西六大学リーグから通算)となる優勝を見せつけられた。
ただ、秋は防御率0.68でベスト10の2位に入った柏原(1年、桐光学園)、怪我から復帰の藤田(2年、大阪桐蔭)がリーグ7位の打率2割7分5厘を記録するなど、下級生の活躍があったのも事実。来年以降に期待を抱かせる結果となった。来シーズンこそ、覇権奪回を目指す。


近畿大学-Kinki UNIV.-(関西学生野球連盟所属)
昨年度主要実績
平成24年関西学生野球春季リーグ2位
平成24年関西学生野球秋季リーグ4位


2009年(平成21年)春以来優勝から遠ざかる近大。今シーズンも覇権奪回を目指したが、春秋ともに及ばなかった。
春は開幕の立命戦でいきなり連敗スタート。続く関学戦は4回戦までもつれこむ激戦(3試合は延長戦)となったが、最後は9回からロングリリーフの宝利(2年、近大福山)が、15回にサヨナラ打を浴び、万事休す。速くも優勝が遠のく形となったが、続く同志社戦を坂田(4年、五條。東海理化入社予定)、田中(2年、倉吉東)、宝利のリレーで逃げ切ると、続く2回戦は峰下(2年、佐賀学園)の一発などで挙げた6得点を、宝利が10奪三振の好投で完封勝ち。京大戦も打力で連勝し、最終週の結果次第では優勝の可能性を残したが、一歩及ばなかった。
秋は開幕の同志社戦を投手陣の好投で制したが、続く関学戦で投手陣が踏ん張れず、連敗。立命戦は打線がヒットこそ出ても得点に結びつかず、連敗。京大2回戦では、小出(3年、愛知啓成)が史上28人目の無安打無得点試合を記録したが、最終の関大戦で1敗したことが響いて、4位に後退した。
連盟最多優勝の43回(旧関西六大学時代含む)を誇る近大。7シーズン優勝から遠ざかるということは最近なかったことだ。来年こそ久々のリーグ優勝、そして15年ぶりの大学日本一なるか。


大阪体育大学-Osaka University of Health and Sport sciences-(阪神大学野球連盟一部所属)
昨年度主要実績
平成24年阪神大学野球春季一部リーグ優勝
第61回全日本大学野球選手権大会2回戦
平成24年阪神大学野球秋季一部リーグ優勝
第10回大阪市長杯争奪関西地区大学野球選手権大会優勝
明治天皇御生誕160年記念第43回明治神宮野球大会大学の部ベスト8


松葉(4年、東洋大姫路オリックス1位指名)、宮川(4年、大体大浪商東北楽天育成1位指名)と強力二枚看板を擁した大体大だったが、6年ぶりの日本一は遠かった。
春は開幕の甲南大戦から松葉、宮川が活躍。1回戦で松葉は18奪三振を奪う快投、宮川も引き分けに終わった2回戦で延長13回199球完投、14奪三振、翌日の3回戦も宮川が7回を3安打1失点に抑え勝点を取ると、関西国際大戦は初戦を落としたものの、2回戦は宮川が、141球の粘り強い投球で完投。3回戦は松葉があと一人から打ち込まれ同点とされたものの、延長10回にサヨナラ勝ち。大阪産大戦も松葉、宮川で取り、関西外国語大戦は、1回戦で松葉が2本塁打を浴び、チームも完封負けを喫したものの、2回戦は4点ビハインドを集中打で逆転し、3回戦も3点ビハインドを逆転サヨナラ勝ち。最終カードの天理大戦1回戦で松葉の好投と、大畑(3年、神村学園)の2本の適時打などで勝ち、3連覇を成し遂げた。
しかし、選手権は1回戦の三重中京大戦は延長タイブレークの末に勝利したものの、打線が三重中京の先発・則本から20三振(参考記録)。奈良産大(近畿学生野球連盟)との2回戦は初回に2点を先行したが、その後は相手の1年生左腕・庄司(水口)に抑え込まれる。そして1点リードで迎えた9回、宮川の野選などで無死一、二塁のピンチを迎え、一死後、相手の九番・竹下(4年、神戸弘陵)にまさかの勝ち越し打を浴び、まさかの2回戦敗退となった。
迎えた秋も、松葉、宮川の両輪は好調。春に続いて甲南大を松葉、宮川が連続完封。これで勢いに乗ると、関西外大2回戦から大産大2回戦にかけて、大畑が連盟新記録となる3試合連続本塁打をマーク。優勝決定戦となった天理大戦は勝ち点こそ落としたものの、2回戦を宮川が6安打12奪三振3失点に抑え、見事4連覇を果たした。
しかし、6月の5リーグ対抗戦(関西学生、関西六大学、阪神学生、近畿学生、京滋大学)の結果を受け、決勝から登場となった大阪市長*1では松葉が関学を4安打10奪三振で完封し、2年連続出場を果たしたものの、本大会では初戦(準々決勝)の桐蔭横浜大戦、2点リードの4回に松葉が喜納に3ランを浴びて逆転を許すと、中盤にも失点し、まさかの5失点。打線も10安打を放ちながら桐蔭横浜の小野(3年、磯原)、上田(1年、浦和学院)から2点しか取れなかったのが響き、初戦敗退に終わった。
二枚看板の卒業後はどうなるか。なにしろ松葉、宮川の存在感が大きすぎて、今年春秋のリーグ戦でマウンドに上がった3年生以下の投手は酒居(2年、龍谷大平安)、渡辺(1年、履正社)の2人しかいないのだ。それだけに主砲・大畑ら打線がどれだけ援護できるかがカギになってくることは間違いない。


九州共立大学-Kyushu Kyoritsu UNIV.-(福岡六大学野球連盟所属)
昨年度主要実績
平成24年福岡六大学野球春季リーグ優勝
第61回全日本大学野球選手権大会ベスト4
平成24年福岡六大学野球秋季リーグ2位
ユニバーシアード大会記念第19回九州大学野球選手権大会予選トーナメント1回戦


川満(4年、宮古総合実。千葉ロッテ2位指名)、大瀬良(3年、長崎日大)とプロ注目の2人を擁し、日本一を狙ったが、またしても壁に跳ね返された。
春は序盤から好調で開幕戦の福岡工大戦を2勝1敗で勝点奪取すると、続く福岡教育大戦も大瀬良、川満の好投で連勝。その後も順調に勝点を伸ばしていき、終わってみれば10勝2敗勝点5で3季連続38回目の優勝。選手権は広島経大(広島六大学野球連盟)との初戦(2回戦)を川満が2安打完封、続く創価大との準々決勝は大瀬良が3安打完封し、昨秋の神宮大会で敗れた雪辱を果たしたが、準決勝は早稲田大投手陣から六番・小瀬戸(3年、長崎日大)しかヒットを打てず(3本)に大瀬良を援護出来ず、2-2の同点で迎えた8回、大瀬良が無死一、三塁から早稲田の五番・地引に決勝打を浴び、柴原洋(元福岡ソフトバンク)を擁した1996年(平成8年)以来となる決勝進出を逃した。
迎えた秋は初戦の九州工大戦2試合を圧勝すると、そこから開幕7連勝。しかし、宿敵九州産大との首位攻防2回戦に敗れると、最終戦の福工大2連戦は1回戦は大瀬良、竹下(4年、八幡。ヤマハ入社予定)のリレーで完封したものの、2回戦は4点を先取しながら追い付かれ結局延長12回引き分け。同週の九産大対福岡教大で九産が連勝したことで、8勝1敗1引分で並んだことで優勝決定戦となり、川満が5回途中3失点でKO。4連覇を阻止されると、2位で出場した九州選手権は、予選トーナメント1回戦で名桜大(九州地区大学野球連盟)に苦戦。川満が5回途中3失点で降板すると、打線は6回まで無得点。ようやく7回に五番・対馬(3年、駒大苫小牧)の一発などで2点を返すも後続続かず、まさかまさかの敗退となった。
来年は大瀬良に続く2番手をどうするか。やはり大体大同様、今年リーグ戦を経験した下級生が岡本(拓。1年、北大津)しかいないのだ。攻撃陣は手銭(2年、秀岳館)、佐藤(3年、八幡)、対馬らが残るだけに、やはり、投手陣次第ということになるか。大いに注目したいところだ。

*1:5リーグ対抗戦優勝の連盟は、大阪市長杯はスーパーシードされる