将棋界最大の泥沼劇

森内俊之名人への挑戦権を賭けたA級順位戦8回戦が今週金曜日に迫る中、LPSA(日本女子プロ将棋協会)絡みで重大な問題が発生してしまった。

将棋の女流新団体が対局拒否 出場資格巡り連盟に抗議(朝日新聞デジタル)
【村瀬信也】日本女子プロ将棋協会石橋幸緒代表理事(女流四段)らが29日、東京都内で会見し、進行中の棋戦「マイナビ女子オープン」を共催する日本将棋連盟マイナビ社に対し、今期の契約を解除する通知を送ったと明らかにした。「次期の棋戦に協会所属の女流棋士の出場が認められない」ことを理由に挙げている。

 石橋代表は同棋戦で30日に予定されている自身の対局(対里見香奈女流四冠戦)を拒否するという。

 協会は、連盟から一部の女流棋士が独立して2007年に設立。昨年、渡部愛女流3級を初めて独自にプロと認定した。しかし連盟は、連盟の養成機関で規定の成績を挙げなければ女流棋士と認めない態度を貫いている。渡部3級が同棋戦に出場できるかどうかを巡り、協会は連盟と交渉を続けたが双方の溝は埋まらず、次期は連盟の女流棋士だけが出場する方向で話が進んでいる。協会は「協会所属の棋士を排除する差別的対応だ」と主張している。

 マイナビ広報部は「連盟と協会が相談して解決して欲しいと伝えてきた。契約の一方的解除と対局放棄は遺憾」とコメントしている。

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2009年3月、LPSAはA級順位戦最終局の中継で、将棋記者の松本博文氏が中継担当から降板させられた事を巡り(松本氏は当時LPSAのIT担当だった)声明を発表、その模様は当ブログでも取り上げた(その時のエントリはこちら)。その時と比べると、日本将棋連盟LPSAの関係は、全く変わっていないと言える。今回の一件はLPSA側と日本将棋連盟側の女流プロ認定に対する認識の違いから起こったものだが(この件に関してはLPSA所属の中井広恵女流六段が自身のツイッターアカウントでも呟いている)、LPSAの設立の経緯からして、恐らくこの件に関して話し合いは行われていなかったのだろうと思われる。また、日経の記事にも書かれているように、これまでの日本将棋連盟への不平不満も今回の一因だろう。
また、マイナビ側の態度にも私は疑問を呈したい。日経の記事には「『マイナビも含めて議論されたが、将棋連盟とLPSAは折り合わない。マイナビは一貫して「両者で話し合って決めてほしい」と言い続けた。』」とある。これでは、ただ単に問題に係わりたくないから逃げ回っているだけ、という風にしか私には見えない(私事で恐縮だが、このような対応を今後もマイナビ側が続ける限り、マイナビ転職への登録を解除せざるを得ないとしか言いようがない)。なぜ話し合いの席に着いても自身の意見を述べようとしないのか。発言をすることで何か都合が悪いことでもあるのか?大いに問いただしたい。
読売の記事には、「他棋戦への対応は今後検討」(スポーツ報知の記事には「他棋戦にはこれまで通り参加する意向」と記載)とあるが、果たしてどうなることか・・・。
昨年12月末の米長邦雄日本将棋連盟会長急逝に伴って発足したばかりの谷川新体制は、日本将棋界の今後に係わる大問題を突き付けられることになってしまった。将棋ファンの一人として、何とか円満な解決を望みたいものだが・・・。