都市対抗二次予選地区再編の話〜近畿編〜

第83回都市対抗野球大会への出場権を争う二次予選は、来週24日から東京と東海を皮切りにスタートする。
今年は2年ぶりの東京ドーム開催、何より11年ぶりの7月開催ということで、真夏の球宴復活と、大きく話題になりそうだが、一方で今年の大会から一部の地区が再編されることとなった。その一つが近畿地方である。
昨年までの方式では、京滋奈(京都府滋賀県奈良県)、大阪・和歌山(大阪府和歌山県)、兵庫県単独の3地区に別れて代表権が争われ、3地区の二次予選で代表権を取れなかった次点チームによって争われる近畿二次予選で、都市対抗への出場チームを決めていたが、これが今年から近畿二次予選へ一本化されることになった。
なぜ、これまでの方式を改めるのか、それはここ10年以上に亘っての経済不況が大きく影響していると言える。
かつてピーク時には237チーム(昭和38年度)あった企業登録のチームだが、バブル経済の崩壊や99年グループのNTTグループの再編によって大きく数を減らし、大昭和製紙(93年休部)、大昭和製紙北海道(93年休部)、熊谷組(93年休部)、東芝府中(99年解散)、プリンスホテル(2000年解散)、河合楽器(2001年休部)、朝日生命(2002年休部)、協和発酵(2002年休部)、いすゞ自動車(2002年休部)、新日本製鐵八幡(2003年解散)、JT(2004年解散)、日産自動車(2009年休部)など多くのチームが休廃部に追い込まれ、平成23年度の企業登録チームは83チームにまで数を減らしている。もちろんこれは近畿地区も例外ではなく、中山製鋼(99年休部→クラブ化)、住友金属(99年解散)、小西酒造(99年休部)、神戸製鋼(2002年休部)、三菱自動車京都(2002年解散)、日本IBM野洲(2003年休部)、デュプロ(2008年解散)と有力チームが休廃部に追い込まれている。
また、こうした有力チームの休廃部は、近畿地区の都市対抗での成績にも大きく影響した。かつては大阪市・全鐘紡の大会3連覇など、大会を沸かせた近畿勢だが、優勝は97年の大阪市日本生命、決勝進出は2000年の大阪市大阪ガス(準優勝)、ベスト4進出も2002年の門真市松下電器(現パナソニック)が最後。昨年の大会では日生と大阪市NTT西日本がベスト8入りしたものの、かつての強さはどこへ・・・という状態が長く続いている。
都市対抗野球には「補強を制する者、黒獅子を制す」という言葉がある。そのくらい都市対抗では補強選手の活躍が優勝のカギを握ることになるのだが、先述のように多くの企業チームが休廃部に追い込まれたことで補強元(予選敗退した企業チーム)が少なくなり、特に近畿地方ではブロックを3地区に分かれて実施していたため、代表枠と予選敗退した企業チームの数のバランスが取れなくなり、思うように補強選手を取ることが難しくなってしまった(実際に補強なしで出場せざるを得ないチームもある)。今回の近畿二次予選への一本化も、競争激化による近畿全体のレベルアップとともに、補強選手の選択幅を広げることが狙いとなっている。
果たして今回の再編が近畿勢にどんな結果をもたらすのか、注目していきたい部分である。